当科における再肝移植の術後成績
【背景】再肝移植は術前からの免疫抑制剤使用による易感染性や手術手技の困難さなどの課題があり、その長期成績は初回移植よりも不良とされている。今回は当科における再肝移植の成績を提示する。【方法】当科で2023年4月までに行なった成人生体肝移植734例、成人脳死肝移植76例のうち、再肝移植13例(生体5例、脳死8例)の術後成績を検討した。【結果】原疾患は胆道閉鎖症3例、B型肝硬変2例、急性肝不全2例、原発性硬化性胆管炎2例、その他4例であった。再移植時の年齢の中央値は37歳(範囲21-59)でグラフト不全の原因は慢性拒絶3例、急性拒絶2例、胆汁鬱滞2例、肝動脈瘤破裂2例、その他4例であった。初回移植...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s177_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s177_1 |
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Summary: | 【背景】再肝移植は術前からの免疫抑制剤使用による易感染性や手術手技の困難さなどの課題があり、その長期成績は初回移植よりも不良とされている。今回は当科における再肝移植の成績を提示する。【方法】当科で2023年4月までに行なった成人生体肝移植734例、成人脳死肝移植76例のうち、再肝移植13例(生体5例、脳死8例)の術後成績を検討した。【結果】原疾患は胆道閉鎖症3例、B型肝硬変2例、急性肝不全2例、原発性硬化性胆管炎2例、その他4例であった。再移植時の年齢の中央値は37歳(範囲21-59)でグラフト不全の原因は慢性拒絶3例、急性拒絶2例、胆汁鬱滞2例、肝動脈瘤破裂2例、その他4例であった。初回移植から再移植までの期間、再移植の手術時間・出血量の中央値はそれぞれ550日(範囲31-6526)、707分(範囲466-1475)、13295ml(範囲900-34880)であった。現在までに2例が死亡しているが1例は再移植後5年以上経過したのちに遅発性急性拒絶によるグラフト不全で死亡、もう1例は再移植後95日目に感染症・血球貪食症候群が原因で死亡している(再移植後観察期間中央値1728日)。【結論】当科では2例の死亡例を認めたものの他の症例では再肝移植により致命的なグラフト不全の状態から救命が可能であった。拒絶によりグラフト不全に至った症例は再移植後の感染症に注意する必要がある。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s177_1 |