小児肝移植症例における早期抜管症例の選択基準に関する検討

小児肝移植後の早期抜管(IE)は標準的な方法となってきている。しかし小児疾患特有の病態やレシピエントの術前状態に応じた術中管理の詳細を示した報告はなくIEの症例選択基準を示唆した報告もない。本研究の目的は当院での肝移植麻酔管理を示し小児肝移植後のIEに対する当院の症例選択基準を改善することである。【方法】後方視的検討。2016年1月-2020年12月に当院で肝移植を受けた症例中、肝移植時に18歳以上であった症例は除外。IEを行った症例(IE-G)とそれ以外の症例(NIE-G)の2群に分け,術前状態、術中管理、術後経過を比較。またN-IEG症例をPOD1に抜管した症例(E-NIEG)とそれ以外(...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s276_2
Main Authors 馬場, 千晶, 蜷川, 純, 橋谷, 舞, 糟谷, 周吾, 浦中, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s276_2

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Summary:小児肝移植後の早期抜管(IE)は標準的な方法となってきている。しかし小児疾患特有の病態やレシピエントの術前状態に応じた術中管理の詳細を示した報告はなくIEの症例選択基準を示唆した報告もない。本研究の目的は当院での肝移植麻酔管理を示し小児肝移植後のIEに対する当院の症例選択基準を改善することである。【方法】後方視的検討。2016年1月-2020年12月に当院で肝移植を受けた症例中、肝移植時に18歳以上であった症例は除外。IEを行った症例(IE-G)とそれ以外の症例(NIE-G)の2群に分け,術前状態、術中管理、術後経過を比較。またN-IEG症例をPOD1に抜管した症例(E-NIEG)とそれ以外(D-NIEG)に分類、原疾患と術後経過を比較。【結果】IE-Gは81例、NIE-Gは183例。2群間で術前の年齢、体重、原疾患、PELDスコアは有意差あり。術中出血量、輸血量、冷阻血時間、GRWR、強心剤使用、術中乳酸最大値も有意差あり。IE-Gでは全例が呼吸不全による再挿管なく抜管も、I28%の症例が抜管にnasal high flowを必要とした。E-NIEGの130例は気管切開に至らず最終的には全例抜管された。D-NIEGの53例では7例が気管切開に至った。【結論】小児肝移植後のIEは我々の麻酔管理プロトコールと術前/術後のIE症例選択基準により安全に実施できた。POD1までに抜管できない症例は気管切開のリスクである可能性がある。IEを試みる際には疾患固有の生理機能や手術部位の状況を考慮することが重要である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s276_2