当院における高齢夫婦間生体腎移植の検討

【目的】当院での生体腎移植において、レシピエントが70歳以上の高齢夫婦間移植の治療成績を評価検討し報告する。【方法】2009年4月から2023年3月の期間に当院で施行された187例の生体腎移植症例のうち、70歳以上を高齢レシピエントとし、該当する8症例のレシピエント、ドナーの治療成績を検討した。【結果】レシピエントの年齢は74±2.8歳(中央値±標準偏差)、男性7例、女性1例。ドナーは全て配偶者で年齢は71±2.9歳。観察期間は67±22.5ヵ月。1例は怠薬による急性拒絶反応のため移植腎喪失となり血液透析再導入。その後COVID-19による重症肺炎で死亡した。それ以外の7例の移植腎機能は良好で...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s307_2
Main Authors 石渡, 亜由美, 別府, 寛子, 白川, 浩希, 川西, 智子, 遠藤, 真理子, 小川, 俊江, 阿部, 恭知, 小野原, 聡, 若井, 幸子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s307_2

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Summary:【目的】当院での生体腎移植において、レシピエントが70歳以上の高齢夫婦間移植の治療成績を評価検討し報告する。【方法】2009年4月から2023年3月の期間に当院で施行された187例の生体腎移植症例のうち、70歳以上を高齢レシピエントとし、該当する8症例のレシピエント、ドナーの治療成績を検討した。【結果】レシピエントの年齢は74±2.8歳(中央値±標準偏差)、男性7例、女性1例。ドナーは全て配偶者で年齢は71±2.9歳。観察期間は67±22.5ヵ月。1例は怠薬による急性拒絶反応のため移植腎喪失となり血液透析再導入。その後COVID-19による重症肺炎で死亡した。それ以外の7例の移植腎機能は良好で、血清Cr 1.45±0.40 mg/dL(平均値±標準偏差)、eGFR 38.1±11.3 mL/min/1.73m2であった。また、ドナーのeGFRは術前、術後1年、3年でそれぞれ70.2±11.1、39.1±5.3、41.2±3.6 mL/min/1.73m2でCKD stage 4に至った症例は認めなかった。【結論】近年、腎代替療法を要する末期腎不全患者の高齢化が進んでいる。高齢夫婦間においても入念に術前評価を行い、手術適応を判断すれば腎移植は安全に施行可能であり、透析の時間的拘束から解放され、趣味など夫婦の時間を共有できることはQOL向上につながる。しかし、年齢とともに感染症や脳血管障害、悪性腫瘍など全身疾患を合併する可能性や認知機能が低下するため、外科、内科、コメディカルを含めた多職種連携の管理体制を整えることが大切である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s307_2