免疫グロブリンによる樹状細胞への影響と機能解析

【緒言】免疫グロブリン(Ig)はpreformed donor specific HLA antibodyを有する術前脱感療法の一環として使用されているが、免疫担当細胞への影響については不明確な部分が多い。本研究ではIgのdendritic cell (DC)への影響に着目しその機能解析を行った。【方法】 CD14陽性単球系細胞を分離しドナーの末梢血単核球細胞(PBMC)存在下でサイトカインを加えmature DC (mDC) へと分化誘導させる。1)ドナー抗原貪食DCのアロ免疫応答の評価はFCM-CFSEで行った。2)IgによるDCの貪食能はCFSE染色したドナー細胞をIgの有無で混合培養し...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s238_1
Main Authors 小林, 孝彰, 三輪, 祐子, 岩崎, 研太, 安次嶺, 聡, 岡田, 学, 石山, 宏平, 雫, 真人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s238_1

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Summary:【緒言】免疫グロブリン(Ig)はpreformed donor specific HLA antibodyを有する術前脱感療法の一環として使用されているが、免疫担当細胞への影響については不明確な部分が多い。本研究ではIgのdendritic cell (DC)への影響に着目しその機能解析を行った。【方法】 CD14陽性単球系細胞を分離しドナーの末梢血単核球細胞(PBMC)存在下でサイトカインを加えmature DC (mDC) へと分化誘導させる。1)ドナー抗原貪食DCのアロ免疫応答の評価はFCM-CFSEで行った。2)IgによるDCの貪食能はCFSE染色したドナー細胞をIgの有無で混合培養しCFSE陽性CD14細胞で評価した。3)Ig存在下でDCへ分化させた際の遺伝子発現変動をsingle cell RNA sequenceで評価した。【結果】1) Ig存在下に分化誘導させたDCは有意にCD4-T細胞を増殖させた。2) CD14陽性単球系細胞はIg存在下で有意に貪食能が増加した。3) DCの中でも複数の機能の異なるclusterへ分類できた。IgによりDC上のHLA発現上昇・PD-L1の発現低下や遊走・走化性に関する遺伝子の減少など遺伝子レベルでの違いが見られた。【考察】Igによる脱感作療法は有効性が見出される一方でその効果判定は不明確である。本研究ではIgによりDCは遺伝子レベルでの違いが生じていること、機能変化が生じていることが観察された。single cell RNA sequenceの遺伝子解析をもとに、実際にIg投与を行った患者の検体を用いた遺伝子発現などの評価を行っていく必要性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s238_1