コロナ禍における肝移植医療の現状と課題
背景;新型コロナウイルス感染症の流行を受け、易感染状態にある移植患者の外来診療体制は大きく変遷を遂げた。対象;2022年4月1日現在当施設で外来診療中の肝移植後患者82名を対象とし、新型コロナワクチンを接種した全患者にアンケート調査を実施した。結果;当施設は緊急事態宣言の出された措置区域内に存在するため、希望者に対し受診間隔の延長と電話診療による処方箋の発行を行なった。アンケートの回収率は90.4%であり、40名が女性で、55名がファイザー社のワクチンを接種していた。副反応の最多は筋肉痛で1/2回目の出現率は30.3/37.9%、発熱は7.6/9.1%、解熱鎮痛剤の内服は4.3/9.1%に留ま...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s260_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s260_1 |
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Summary: | 背景;新型コロナウイルス感染症の流行を受け、易感染状態にある移植患者の外来診療体制は大きく変遷を遂げた。対象;2022年4月1日現在当施設で外来診療中の肝移植後患者82名を対象とし、新型コロナワクチンを接種した全患者にアンケート調査を実施した。結果;当施設は緊急事態宣言の出された措置区域内に存在するため、希望者に対し受診間隔の延長と電話診療による処方箋の発行を行なった。アンケートの回収率は90.4%であり、40名が女性で、55名がファイザー社のワクチンを接種していた。副反応の最多は筋肉痛で1/2回目の出現率は30.3/37.9%、発熱は7.6/9.1%、解熱鎮痛剤の内服は4.3/9.1%に留まった。観察期間中にPCR検査が陽性となった患者は4名(発症率4.9%)であり、全例が50歳以上の家族内発症でうち3例は基礎疾患に対しステロイド内服中、1例は透析中で1例は非定型抗酸菌症を合併していた。全例に対し点滴あるいは内服による新型コロナウイルス感染症治療が実施され、肺合併症を有した1例は基礎疾患のため当施設での入院加療を余儀なくされた。考察;2022年4月25日現在国内におけるPCR検査陽性者数は人口の約6.1%と当施設感染率と遜色はなく、易感染状態となる移植患者に対しても安全に移植医療が継続されていることが明らかとなった。ワクチン接種後の副反応の出現率は、国内における臨床試験による有害事象発症率より低かった。リハビリ期間中の基礎疾患治療継続が今後の課題である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s260_1 |