新型コロナウイルス感染症に対する腎移植後管理について

新型コロナウイルス感染症(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2; SARS-CoV-2)は2020年初頭より全世界的な流行をみせている。免疫抑制療法を必要とする臓器移植医療において、SARS-CoV-2感染はレシピエントの重症化やドナー由来の組織伝播などが流行当初より懸念されており、特に腎移植は免疫抑制が他臓器移植と比較して強い、生体臓器移植が多い、などの観点から影響が強いと考えられている。移植後の感染制御として、ワクチン接種のほか抗体医薬の投与が考えられるが、前者は接種後の抗体獲得率および獲得抗体価について低いことが予想され、後者につ...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s191_1
Main Author 海上, 耕平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s191_1

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Summary:新型コロナウイルス感染症(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2; SARS-CoV-2)は2020年初頭より全世界的な流行をみせている。免疫抑制療法を必要とする臓器移植医療において、SARS-CoV-2感染はレシピエントの重症化やドナー由来の組織伝播などが流行当初より懸念されており、特に腎移植は免疫抑制が他臓器移植と比較して強い、生体臓器移植が多い、などの観点から影響が強いと考えられている。移植後の感染制御として、ワクチン接種のほか抗体医薬の投与が考えられるが、前者は接種後の抗体獲得率および獲得抗体価について低いことが予想され、後者については流行株の変遷などが懸念される。さらに、感染者における抗体価の推移についても不明な点が多い。移植後感染者においては重症化が懸念されるため、代謝拮抗薬など免疫抑制薬の減弱あるいは中止や抗ウイルス薬投与などが行われるが、前者において拒絶反応惹起も懸念されるため、十分な中止が必要とされ、後者は流行の経過に従って治療戦略の変化を認めている。今回、SARS-CoV-2に対する腎移植後管理について述べる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s191_1