長期グラフト予後指標としてのドナー由来血中遊離DNA解析の有用性

【背景】近年、リアルタイムなグラフト障害を示すバイオマーカーとしてドナー由来血中遊離DNA(donor-derived cell free DNA;ddcfDNA)が注目され、プロトコル生検時(PB)に比べ、急性拒絶(AR)での有意上昇(ROC≧0.9)が報告されてきた。今回我々はddcfDNAの長期予後指標としての可能性について考察した。【方法】15歳未満で肝移植を実施し、移植後10年以上経過してPBを実施した症例を対象とした。なお、ddcfDNAは次世代シークエンサーを用いたSNP解析の手法をもとに比率を算定し、組織生検結果と比較した。【結果】対象となった59例のうち、ddcfDNAが測定...

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Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s174_1
Main Authors 金森, 洋樹, 山田, 洋平, 長谷川, 康, 尾原, 秀明, 篠田, 昌宏, Phuong, Thanh Nguyen, 光永, 滋樹, 井ノ上, 逸朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
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Summary:【背景】近年、リアルタイムなグラフト障害を示すバイオマーカーとしてドナー由来血中遊離DNA(donor-derived cell free DNA;ddcfDNA)が注目され、プロトコル生検時(PB)に比べ、急性拒絶(AR)での有意上昇(ROC≧0.9)が報告されてきた。今回我々はddcfDNAの長期予後指標としての可能性について考察した。【方法】15歳未満で肝移植を実施し、移植後10年以上経過してPBを実施した症例を対象とした。なお、ddcfDNAは次世代シークエンサーを用いたSNP解析の手法をもとに比率を算定し、組織生検結果と比較した。【結果】対象となった59例のうち、ddcfDNAが測定されたのは40例であり、PB時のddcfDNAは平均4.4%(標準偏差3.1)であったが線維化の程度(LAFSc)、C4d score、DSA(nMFI)とは相関を認めなかった。一方でBanff criteriaに従い慢性拒絶(CR)と診断された症例では、PB群に比べてddcfDNAは高値であり、薬剤調整にも関わらず高値が遷延した。【考察】長期経過症例でのddcfDNAは、線維化、DSAとは相関を認めず、線維化が強い症例やDSA陽性例は現在進行形にグラフト障害を生じてはいないと推察された。一方で、慢性拒絶ではddcfDNA高値から、断続的にグラフト障害が生じていることが示唆され、予後不良となる可能性が考えられた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s174_1