当院のグラフト不全に対する再肝移植:小児と成人の比較
【緒言】移植肝グラフト不全に対する再肝移植は、初回移植と比較して予後が不良であることが知られている。【方法】1998年12月から2022年12月までに当院で生体または脳死肝移植を行った症例のうち、再肝移植、再々肝移植を受けた症例を抽出した。症例は再移植時の年齢に応じて小児(18歳未満)と成人(18歳以上)に分け、後方視的に収集したデータを用いて解析を行った。エンドポイントはグラフト生存率とした。【結果】当院で施行した肝移植、小児193例、成人507例のうち、再移植例は小児17例(生体16、脳死1)、成人29例(生体20、脳死6、ドミノ2ndレシピ3)で、再移植までの期間はそれぞれ28(0-19...
Saved in:
Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s177_2 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s177_2 |
Cover
Summary: | 【緒言】移植肝グラフト不全に対する再肝移植は、初回移植と比較して予後が不良であることが知られている。【方法】1998年12月から2022年12月までに当院で生体または脳死肝移植を行った症例のうち、再肝移植、再々肝移植を受けた症例を抽出した。症例は再移植時の年齢に応じて小児(18歳未満)と成人(18歳以上)に分け、後方視的に収集したデータを用いて解析を行った。エンドポイントはグラフト生存率とした。【結果】当院で施行した肝移植、小児193例、成人507例のうち、再移植例は小児17例(生体16、脳死1)、成人29例(生体20、脳死6、ドミノ2ndレシピ3)で、再移植までの期間はそれぞれ28(0-195)ヶ月、90(1-216)ヶ月であった。再移植後1、5、10年グラフト生存率は小児で88.2%、88.2%、81.4%、成人で75.8%、65.2%、65.2%。グラフトロスは小児例で2例(12%)が術後1年以内(移植肝不全1、肺高血圧1)、2例が1年以上経ってから生じた(腸穿孔による多臓器不全1、移植肝不全1)。成人では1年以内に7例(24%:敗血症3、DIC 2、移植肝不全2)、1年以降に3例(敗血症1、移植肝不全1、他臓器癌1)認めた。【考察】再移植のうち小児例の治療成績は比較的良好。一方成人例では敗血症やDICなど術後早期に重症化あるいはグラフト不全を生じる例が多く、短期予後が不良であった。特に成人例では全国の再移植患者のデータを集積し予後不良因子についての検討が急務である。 |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s177_2 |