急性期脳血管疾患患者に対する呼吸リハビリテーションの取り組み

【目的】 拘束性呼吸機能障害は、脳血管障害やパーキンソン病などの中枢神経疾患において併発する呼吸器疾患であると言われている。しかし、脳血管疾患患者に対する呼吸機能評価の報告を目にする機会は少ない。今回、安静度制限がある時期から急性期脳血管疾患患者に対する呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)の取り組みを行ったためここに報告する。 【対象】 当院で平成21年6月~8月における脳外科・神経内科での新規リハ処方患者119名中、急性期脳血管疾患の80歳未満で意識レベルがJCSI桁もしくは意識清明であり、離握手・開眼閉眼・スパイロメトリーの使用などについて簡単な指示従命が可能な患者を対象とした。主治医...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 43
Main Authors 鈴木, 菜里, 川島, 雅明, 平井, 裕介, 砥板, 泰久, 松田, あゆみ, 清水, 賢二, 勇, 藍子, 片山, 誠, 川上, 隆三, 辛島, 洋平, 古賀, 有希乃, 小池, 陽輔, 田川, 修一郎, 岩崎, 美知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2010
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Summary:【目的】 拘束性呼吸機能障害は、脳血管障害やパーキンソン病などの中枢神経疾患において併発する呼吸器疾患であると言われている。しかし、脳血管疾患患者に対する呼吸機能評価の報告を目にする機会は少ない。今回、安静度制限がある時期から急性期脳血管疾患患者に対する呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)の取り組みを行ったためここに報告する。 【対象】 当院で平成21年6月~8月における脳外科・神経内科での新規リハ処方患者119名中、急性期脳血管疾患の80歳未満で意識レベルがJCSI桁もしくは意識清明であり、離握手・開眼閉眼・スパイロメトリーの使用などについて簡単な指示従命が可能な患者を対象とした。主治医からスパイロメトリーの使用許可が得られた4名を実施群とし、スパイロメトリーを使用できなかった4名を非実施群とした。尚、対象患者には研究の趣旨を説明し、同意を得た上で実施した。 【方法】 実施群、非実施群に対し、リハ処方2日以内に初期評価(SpO2・脈拍・呼吸数)を実施。実施群に関しては一回換気量も測定した。実施群にベッドサイドでの呼吸リハ(胸郭可動域運動、呼吸介助、呼吸訓練)を5日間介入後、両群に対して3分間歩行負荷試験を追加した最終評価を実施した。3分間歩行負荷試験では、SpO2・脈拍・呼吸数より運動耐久性の程度を比較した。 【結果】 I.両群ともにBr-stageはIV以上であった。II.スパイロメトリーを使用した実施群においては、5日間の呼吸リハ介入前後で、一回換気量が0.18L増加していた。III.3分間歩行負荷試験後のSpO2については両群ともに特に変動はみられなかった。IV.3分間歩行負荷試験後の脈拍において、実施群の増加量が少なかった(実施群+1.25回、非実施群+14.75回)。V.3分間歩行負荷試験後の呼吸数において、実施群ではわずかに減少していた(実施群0.25回、非実施群1.75回)。 【考察】 今回、急性期脳血管疾患患者に対しベッドサイドから呼吸リハを行い、運動耐久性について検討した。実施群の介入前後比較において一回換気量の増加がみられ、3分間歩行負荷試験の前後比較では実施群のバイタル変動が少ないという結果であった。これは、安静度により臥床時期から呼吸リハを実施することで、胸郭の可動性と呼吸筋の維持・予防により廃用性の低下を最小限に抑え、より円滑に離床を行うことができたためではないかと考えられる。 今回、両群ともに4症例という少数であったため、効果・検討等は不十分であると考えられる。今後は症例数を増やしながら、評価内容(換気量、自覚的評価、QOL評価等)についても検討していきたい。
Bibliography:137
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2010.0.43.0