生体肺移植後の慢性腎臓病に対して生体腎移植を施行した2例

【緒言】慢性腎臓病(CKD)は肺移植後の主な慢性期合併症の一つであり、肺移植後10年で約10%の患者に血液透析(HD)や腎移植といった腎代替療法が必要となる。脳死肺移植後の生体腎移植の有用性は報告されているが、生体肺移植後の生体腎移植については、親族から肺に続く腎の提供が必要になるため、施行された症例の報告は稀である。生体肺移植後の慢性期に進行したCKDに対し、生体腎移植を施行した2症例を報告する。【症例1】23歳時にLAMに対して両側生体肺移植(右ドナー:兄,左ドナー:母親)を施行された。肺機能は問題なかったが生体肺移植の12年後にCKDに対してHDを導入され、その2年後に同一ドナーである母...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s298_1
Main Authors 三好, 健太郎, 田中, 真, 調枝, 治樹, 橋本, 好平, 岡崎, 幹生, 杉本, 誠一郎, 諏澤, 憲, 石原, 恵, 枝園, 和彦, 山本, 寛斉, 豊岡, 伸一, 柳光, 剛志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s298_1

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Summary:【緒言】慢性腎臓病(CKD)は肺移植後の主な慢性期合併症の一つであり、肺移植後10年で約10%の患者に血液透析(HD)や腎移植といった腎代替療法が必要となる。脳死肺移植後の生体腎移植の有用性は報告されているが、生体肺移植後の生体腎移植については、親族から肺に続く腎の提供が必要になるため、施行された症例の報告は稀である。生体肺移植後の慢性期に進行したCKDに対し、生体腎移植を施行した2症例を報告する。【症例1】23歳時にLAMに対して両側生体肺移植(右ドナー:兄,左ドナー:母親)を施行された。肺機能は問題なかったが生体肺移植の12年後にCKDに対してHDを導入され、その2年後に同一ドナーである母親をドナーとした生体腎移植を施行した。肺移植後23年(腎移植後9年)を経過したが、本人・母親とも生存中である。【症例2】10歳時にIPAHに対する右片側生体肺移植(ドナー:母親)を受け、移植7年後にBOSと診断され、14年後に両側脳死再肺移植を施行された。同年にCKDに対するHDが導入され、再肺移植の4年後に血液型一致の父親をドナーとする生体腎移植が施行された。生体肺移植後22年(生体腎移植後4年)を経過したが生存中である。【まとめ】生体肺移植後のCKDに対する生体腎移植は、ドナーの選択は慎重に検討されるべきだが、レシピエントの長期生存に寄与する可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s298_1