60歳以上のドナーからの心臓移植の遠隔期成績~二施設共同研究から
【背景】日本では特に高齢ドナーからの臓器提供が多く、その遠隔期成績を検証することで、高齢ドナーから心臓移植の安全性を検証することを目的とした。【方法】1999年2月から2021年12月に二施設にて心臓移植を施行した302例中、移植時年齢が18歳以上の260例を対象とした。ドナー年齢が60歳以上の29例(O群)と60歳未満の231例(Y群)の遠隔期成績を比較検討した。O群とY群において、術後免疫抑制療法などに差はなかった。【結果】心臓移植後の5年および10年生存率は、Y群が94%と92%であるのに対して、O群は86%と86%と若干低値を示したが有意差は見られなかった(Log Rank P=0.2...
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Published in | 移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s151_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
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Summary: | 【背景】日本では特に高齢ドナーからの臓器提供が多く、その遠隔期成績を検証することで、高齢ドナーから心臓移植の安全性を検証することを目的とした。【方法】1999年2月から2021年12月に二施設にて心臓移植を施行した302例中、移植時年齢が18歳以上の260例を対象とした。ドナー年齢が60歳以上の29例(O群)と60歳未満の231例(Y群)の遠隔期成績を比較検討した。O群とY群において、術後免疫抑制療法などに差はなかった。【結果】心臓移植後の5年および10年生存率は、Y群が94%と92%であるのに対して、O群は86%と86%と若干低値を示したが有意差は見られなかった(Log Rank P=0.214)。また、遠隔期の有害事象として、冠血行再建、ペースメーカー植込み、血液透析の導入、PTLDを含む悪性腫瘍の発症につき、比較検討したが、両群間に有意差は見られなかった。移植後5年8年10年の経胸壁心エコー検査ならびに右心カテーテル検査において有意差が見られたのは、移植後10年における左室拡張末期径(Y群44±4.5 mm vs. O群39±1.6, P=0.043)および左室収縮末期径(Y群28±5.0 mm vs. O群26±2.1, P=0.043)であった。移植後5年ならびに10年に施行した右心カテーテル検査では、有意差はないものの、O群において、肺動脈圧と肺動脈楔入圧が高く、心係数が低い傾向が見られた。【結論】高齢ドナーであっても、心移植後10年まではほぼ同等の遠隔期成績が得られている。以降の経過観察が注目される。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s151_1 |