移植医としてのキャリアを考える

 移植医療の進歩は目覚ましく,今や一般医療となりつつある.しかし移植は特殊で,基本となる領域が問われない分野であり、この幅広さは移植医療の魅力の一つでもある.私は14年目となる移植医であるが,早期に移植と出会い、キャリアの大半を移植医療に費やしてきた.今までの歩みを振り返り,移植医としてのキャリア形成について紹介する.私は消化器外科医を目指していたが,初期研修医1年時に千葉東病院(当時有数の膵腎移植施設であった)で生体膵腎同時移植や生体腎移植を経験し,移植への興味を抱いた.当時移植に特化したプログラムはなく,また,外科の修練が必須であると考え千葉大学大学院先端応用外科学に入局した.消化器外科の...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s241_1
Main Author 會田, 直弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s241_1

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Summary: 移植医療の進歩は目覚ましく,今や一般医療となりつつある.しかし移植は特殊で,基本となる領域が問われない分野であり、この幅広さは移植医療の魅力の一つでもある.私は14年目となる移植医であるが,早期に移植と出会い、キャリアの大半を移植医療に費やしてきた.今までの歩みを振り返り,移植医としてのキャリア形成について紹介する.私は消化器外科医を目指していたが,初期研修医1年時に千葉東病院(当時有数の膵腎移植施設であった)で生体膵腎同時移植や生体腎移植を経験し,移植への興味を抱いた.当時移植に特化したプログラムはなく,また,外科の修練が必須であると考え千葉大学大学院先端応用外科学に入局した.消化器外科の習練を積み,大学院に進学した際に研究テーマとして移植を選択し,医師5年目に移植医療に特化している藤田保健衛生大学医学部 臓器移植科 (現 藤田医科大学医学部 移植・再生医学) へ異動した.膵臓移植に関する研究で学位を取得し,以降1年間の消化器外科勤務を除き移植医療のみに従事している.当科は日本で唯一膵臓・膵島・腎臓移植のすべてを同一診療科で担っている.現在は移植に関する診療,基礎研究に加え,教員として学生指導を行っている. 移植医療では多様なキャリア形成が可能である.移植医療は特殊な領域であるため,その入り口に立つための「出会い」を提供することを今後の目標に一つとしている。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s241_1