膵・膵島移植新時代における適応判定・ドナー選択の東北大新基準

本邦における膵臓移植は、欧米では使用が回避される厳しい条件の膵グラフトを積極的に使用しつつも良好な成績を残してきた。当施設ではこれまで15例の膵腎同時移植(SPK)を施行しているが、他施設と同様、様々な手術手技・周術期管理の工夫により、厳しい条件のドナーにおいても良好な成績を維持することができていると考えている。一方で、膵臓移植に関連した深刻な合併症や早期グラフト廃絶も経験しており、膵島移植の成績が向上し保険収載された現在、膵臓・膵島移植の適応判定やドナー選択について再考する時期にきていると考えている。膵単独移植に関しては、本邦においても生着率が十分でないことから、当施設における膵臓移植の適応...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s206_1
Main Authors 宮城, 重人, 柏舘, 俊明, 和田, 基, 宮崎, 勇希, 佐々木, 健吾, 宮澤, 恒持, 戸子台, 和哲, 藤尾, 淳, 松村, 宗幸, 海野, 倫明, 亀井, 尚, 後藤, 昌史, 山名, 浩樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s206_1

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Summary:本邦における膵臓移植は、欧米では使用が回避される厳しい条件の膵グラフトを積極的に使用しつつも良好な成績を残してきた。当施設ではこれまで15例の膵腎同時移植(SPK)を施行しているが、他施設と同様、様々な手術手技・周術期管理の工夫により、厳しい条件のドナーにおいても良好な成績を維持することができていると考えている。一方で、膵臓移植に関連した深刻な合併症や早期グラフト廃絶も経験しており、膵島移植の成績が向上し保険収載された現在、膵臓・膵島移植の適応判定やドナー選択について再考する時期にきていると考えている。膵単独移植に関しては、本邦においても生着率が十分でないことから、当施設における膵臓移植の適応は末期腎不全を伴う症例に対するSPKのみとしており、腎不全を伴わない症例に対しては膵島移植のみを治療選択肢としてきた。さらに現在は、末期腎不全に至った症例においても、SPKだけでなく生体腎移植+膵島移植を治療選択肢として提示しており、侵襲性を考慮し後者を希望される患者も経験している。膵臓移植と膵島移植は侵襲性などに相違点も多いことから、同一の基準で適応判断することは困難であると思われるが、貴重な社会資源であるドナー臓器の恩恵を最大化し、かつ患者のニーズに応えるという観点から、膵臓移植・膵島移植両者における適応判定基準およびドナー選択基準を議論していくことが求められていると考えている。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s206_1