B細胞のペプチド抗原に対する抗原提示能の解析

【背景】B細胞は、蛋白抗原に対し抗体産生に関与するが、抗原提示能については十分に解明されていない。本研究は、蛋白抗原としてOvalubmine(OVA) peptideを用い、B細胞の抗原取り込み能、抗原提示能、T細胞応答への影響を検討した。【方法】OT-Iマウスの脾臓CD8+T細胞をCFSEで標識し、B6 WTの骨髄由来樹状細胞(BMDC)をOVA peptide pulse して共培養した(control)。この系にWTマウスから分離した腹腔内あるいは脾臓内B細胞をOVA pulseの有無で添加し、3日後にCD8+T細胞応答の変化を評価した。【結果】B細胞を添加しないcontrol群では、...

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Published in移植 Vol. 57; no. Supplement; p. s345_3
Main Authors 望月, 哲矢, 田中, 友加, 井出, 隆太, 今岡, 祐輝, 中野, 亮介, 坂井, 寛, 谷峰, 直樹, 大平, 真裕, 田原, 裕之, 井手, 健太郎, 大段, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
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Summary:【背景】B細胞は、蛋白抗原に対し抗体産生に関与するが、抗原提示能については十分に解明されていない。本研究は、蛋白抗原としてOvalubmine(OVA) peptideを用い、B細胞の抗原取り込み能、抗原提示能、T細胞応答への影響を検討した。【方法】OT-Iマウスの脾臓CD8+T細胞をCFSEで標識し、B6 WTの骨髄由来樹状細胞(BMDC)をOVA peptide pulse して共培養した(control)。この系にWTマウスから分離した腹腔内あるいは脾臓内B細胞をOVA pulseの有無で添加し、3日後にCD8+T細胞応答の変化を評価した。【結果】B細胞を添加しないcontrol群では、CD8T細胞の分裂増殖を強く認めたのに対し、OVA pulseした腹腔内B細胞を添加した群は、用量依存的にCD8+T細胞応答が低下した(Stimulation Index B:T=1:10; 0.66 (p=0.01), B:T=1:100; 0.71(p=0.01), B:T=1:1000; 1.01(p=0.17))。一方で、脾臓B細胞を添加した群では、抑制効果を認めなかった。腹腔内B細胞はCD19+CD11b+ B-1細胞が優位であり、PD-L1,PD-L2,CD80,CD86が高発現していた。【結語】B細胞は蛋白抗原取り込み・抗原提示能・T細胞応答抑制能を示し、その機構にはPD-L1/L2が関与している可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s345_3