JOT側から、移植医療サステナビリティを考える

2023年6月30日現在脳死下での臓器提供数は1月以降60件を超えており、最多は4月の19件であった。これまで移植医療の世界では、一般社会や移植医発信で臓器提供数が少ないことのみ声高に叫ばれてきたが、増加した際の移植医療側の受け入れ態勢について詳細に検討されたことはなかった。過去最多の臓器提供数の経験から、移植医側が早急に解決すべき課題について述べる。(1)移植実施施設数妥当性に関する検討;摘出手術が連日続いたことを受け、特に胸部移植実施施設からの施設辞退が相次いだ。移植施設側の受け入れ体制が整わないことによる施設辞退はすなわち患者不利益に直結する。現在の移植実施施設数の妥当性について、現状の...

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Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s221_1
Main Author 蔵満, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
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Summary:2023年6月30日現在脳死下での臓器提供数は1月以降60件を超えており、最多は4月の19件であった。これまで移植医療の世界では、一般社会や移植医発信で臓器提供数が少ないことのみ声高に叫ばれてきたが、増加した際の移植医療側の受け入れ態勢について詳細に検討されたことはなかった。過去最多の臓器提供数の経験から、移植医側が早急に解決すべき課題について述べる。(1)移植実施施設数妥当性に関する検討;摘出手術が連日続いたことを受け、特に胸部移植実施施設からの施設辞退が相次いだ。移植施設側の受け入れ体制が整わないことによる施設辞退はすなわち患者不利益に直結する。現在の移植実施施設数の妥当性について、現状の臓器提供数に則した検討を早急に行うべきである。(2)移植実施施設における院内受け入れ態勢の再確認;摘出手術が連日続いたことを受け、1施設での同時移植可能数や麻酔科・オペ室との連携体制が取れないことから、施設辞退が相次いだ。移植実施施設は、実施施設としての職責を果たすべく院内体制整備を再度再構築すべきである。(3)移植医の育成;連日に及ぶドナー情報を受ける医師が手術に入っていることから、レシピエント決定までの時間が通常より長期化した。移植施設では、1st callを日常受けている医師以外でもドナー対応ができるよう、次世代を育成すべきである。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s221_1