地域中核病院の薬剤師と保険薬局薬剤師の連携による在宅医療の実践

「はじめに」当院は平成8年10月1日より院外処方せんの全面発行を行い, 地域医療支援型の中核病院として院外処方せんの面分業の推進と患者の薬剤情報提供の一元化に努めてきた. 平成12年の介護保険制度導入により在宅医療が進展することが考えられる. 在宅医療では在宅中心静脈栄養法(HPN:home parenteral nutrition), 癌患者の疼痛緩和など薬剤師による適正な管理が必要である. 患者QOL向上をHPNの面から検討し, 病院薬剤師の関わる重要性が報告1)されている. しかし医薬分業の中で在宅医療を考えた場合, 院外処方せんからだけでは患者情報に乏しく患者の生活の質(QOL:qua...

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Published in病院薬学 Vol. 25; no. 2; pp. 218 - 225
Main Authors 岩尾, 一生, 井藤, 達也, 志賀, 隆博, 福島, 絃司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 1999
日本病院薬学会
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Summary:「はじめに」当院は平成8年10月1日より院外処方せんの全面発行を行い, 地域医療支援型の中核病院として院外処方せんの面分業の推進と患者の薬剤情報提供の一元化に努めてきた. 平成12年の介護保険制度導入により在宅医療が進展することが考えられる. 在宅医療では在宅中心静脈栄養法(HPN:home parenteral nutrition), 癌患者の疼痛緩和など薬剤師による適正な管理が必要である. 患者QOL向上をHPNの面から検討し, 病院薬剤師の関わる重要性が報告1)されている. しかし医薬分業の中で在宅医療を考えた場合, 院外処方せんからだけでは患者情報に乏しく患者の生活の質(QOL:quality of life)の向上を目指した服薬指導を行うことは難しい場合も考えられる. このような状況をふまえ, 平成9年度老人保健事業推進費等補助金事業として『在宅医療における医療機関と薬局の連携のあり方に関する研究事業』を北海道内では札幌市室蘭市において数施設が参加し実施した2). 本事業は病院薬剤師と薬局薬剤師の連携により, 各々の服薬指導が患者の薬物療法の質的向上にどのように貢献できるかを検証するものである. 今回, 当院においてこれら事業に取り組み得られた知見について報告する. 方法 1. 服薬指導情報提供書 情報提供書は, 病院薬剤師から薬局薬剤師へ提供する書式(病薬→保薬)と薬局薬剤師から病院薬剤師へ提供する書式(保薬→病薬)の2種類を利用した(図1). 病院薬剤師側からの情報は, 退院時のサマリーや入院時の薬剤管理指導記録簿に記録されている内容を抜粋し, 臨床検査値については別紙に記載した. また薬局薬剤師側からの情報は, 薬剤管理やコンプライアンスの状況, ADL(activities of daily living)あるいは家庭環境に関わる内容など可能なかぎり記載した. 情報提供書のフォーマットは以下のシステムにより作成し, 個々の患者情報をデータベース化した.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.25.218