誘電泳動法による微小流体中での微生物の生死分離

• Published in: 分析化学 Vol. 54; no. 12; pp. 1189 - 1195
• Main Authors: 鈴木, 雅登, 安川, 智之, 珠玖, 仁, 末永, 智一
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益社団法人 日本分析化学会 2005
• ISSN: 0525-1931
• DOI: 10.2116/bunsekikagaku.54.1189

微生物の膜損傷に起因した生死状態に基づき分離が可能なチップデバイスを作製した．微生物に作用する誘電泳動力の差を利用し，生菌の捕捉と膜損傷を与えた菌の排出を行った．微生物分離チップは凹凸を有するバンドを配列させたcastellated型の透明電極（ITO）基板，直線流路パターン（幅2 mm，長さ35 mm）を有したシリコンスペーサ，入口と出口を備えたアクリル板から構成されている．無処理の大腸菌と熱処理した大腸菌をLive/Dead蛍光染色し，200 mMスクロース水溶液中に混合させた．大腸菌を流量440 μm/sでチップへ導入し，挙動を蛍光顕微鏡で観察した．ITO基板に正弦波（100 kHz，20 Vpeak-peak）を印加すると，大腸菌に正の誘電泳動が作用し電極間に捕捉された．周波数を7 MHzに切り替えると，死んでいる大腸菌への正の誘電泳動力が弱まり，電極から解放されチップから排出された．このチップを利用すると簡便で迅速な大腸菌の生死分離ができる．