男女別にみたスリーブ状胃切除術前後の筋肉内脂肪量と総体重減少率との関連
1) 大浜第一病院 リハビリテーション科 2) もーさん リハ院 3) 琉球大学大学院医学研究科 臨床研究教育管理学講座 4) 大浜第一病院 糖尿病センター 【目的】 スリーブ状胃切除術 (SG)は、減量効果や肥満関連の健康障害の改善、QOLの改善が明らかになっている。一方、SG後の体重減少は、体脂肪量や骨格筋量の減少、筋力低下が報告されている。近年、コンピュータ断層撮影像 (CT)を用いた骨格筋量や骨格筋の脂肪化に反映する筋肉内脂肪量すなわち骨格筋の質の評価について着目されているが、CTを用いたSG後の骨格筋量の減少や骨格筋の質的変化についての報告はない。本研究は、SG前後の骨格筋量、筋肉...
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Published in | Kyushu physical therapist Congress Vol. 2024; p. 105 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
2024
Kyushu Physical Therapy Association |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2434-3889 |
DOI | 10.32298/kyushupt.2024.0_105_3 |
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Summary: | 1) 大浜第一病院 リハビリテーション科 2) もーさん リハ院 3) 琉球大学大学院医学研究科 臨床研究教育管理学講座 4) 大浜第一病院 糖尿病センター 【目的】 スリーブ状胃切除術 (SG)は、減量効果や肥満関連の健康障害の改善、QOLの改善が明らかになっている。一方、SG後の体重減少は、体脂肪量や骨格筋量の減少、筋力低下が報告されている。近年、コンピュータ断層撮影像 (CT)を用いた骨格筋量や骨格筋の脂肪化に反映する筋肉内脂肪量すなわち骨格筋の質の評価について着目されているが、CTを用いたSG後の骨格筋量の減少や骨格筋の質的変化についての報告はない。本研究は、SG前後の骨格筋量、筋肉内脂肪量、筋力、身体活動量の経時的変化と総体重減少率 (% TWL)に関連する要因について男女別で検討した。 【方法】 2018年12月~2022年7月の期間に病的肥満症と診断され、SGを施行された255名のうち、SG後1年通院した男性62名(年齢44±10歳)、女性111名(年齢47±11歳)を対象とした。評価項目には、CT画像の第3腰椎レベルを使用し、骨格筋量は[大腰筋断面積 (㎝²)/身長² (m²)]からPsoas muscle mass index(PMI)と、筋肉内脂肪量は大腰筋CT値と多裂筋CT値、[多裂筋CT値/背部皮下脂肪CT値]からIntramuscular adipose tissue content (IMAC)を算出した。体脂肪量は内臓脂肪面積(VFA)、皮下脂肪面積(SFA)を測定した。また絶対握力、体重で除した値の相対握力で握力評価を行い、国際標準化身体活動質問票を用いて座位時間、総身体活動量を算出した。統計学的分析では、術前とSG後1年の経時的変化にはt検定を用い、SG後1年の総体重減少率と各評価項目の変化量(SG後1年の値-術前の値:⊿)との関連はSpearmanの順位相関係数を用い検討した。 【結果】 男女両方で術前と比べSG後1年に体重、BMI、PMI、IMAC、VFA、SFA、座位時間は有意に減少した (p<0.001)。一方で、大腰筋CT値、多裂筋CT値、相対握力、総身体活動量は有意に増加した (p<0.001)。男性においてSG後1年の% TWLとの関連を検討した結果、⊿SAF (r= -0.74 p<0.001)、⊿IMAC (r= -0.61 p<0.001)、⊿VAF (r= -0.46 p<0.001)、⊿PMI (r=-0.3 p<0.001)と有意な負の相関を認めた。一方では、SG後1年の% TWLと⊿相対握力 (r= 0.71 p<0.001)、⊿多裂筋CT値 (r= 0.52 p<0.001)、⊿大腰筋CT値 (r= 0.47 p<0.001)、⊿総身体活動量 (r= 0.29 p<0.05)と有意な正の相関を認めた。女性においてSG後1年の% TWLとの関連を検討した結果、⊿SAF (r= -0.73 p<0.001)、⊿VAF (r=-0.5 p<0.001)、⊿PMI (r= -0.43 p<0.001)、⊿座位時間 (r= -0.39 p<0.001)と有意な負の相関を認めた。一方では、SG後1年の% TWLと⊿多裂筋CT値 (r= 0.43 p<0.001)、⊿大腰筋CT値 (r= 0.4 p<0.001)、⊿相対握力 (r= 0.52 p<0.001)、⊿総身体活動量 (r= 0.35 p<0.001)と有意な正の相関を認めた。 【考察】 先行研究では、SG後1年において体脂肪量や骨格筋量の減少、絶対筋力の低下が示され一方で、相対筋力や身体機能の改善、身体活動量の向上が報告されている。本研究では、SG後1年において、男女共に体脂肪量減少や骨格筋量減少を示す一方で、筋肉内脂肪量や相対握力が改善し、座位時間が短縮され、総身体活動量が増加した。SG後は骨格筋の質が改善し、座位時間の短縮といった総身体活動量の改善に繋がったと考える。男女共に%TWLが増加すると骨格筋量やVFAやSATの体脂肪量が減少し、多裂筋CT値と大腰筋CT値の筋肉内脂肪量、相対握力、総身体活動量が改善することが示された。ただし、男性では%TWLとIMACの関連を認めた。これは女性が皮下脂肪組織が落ちにくい特性が示された。 【倫理的配慮】本研究は倫理審査委員会の承認 (承認番号253)を得て実施した。 |
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Bibliography: | O5-3 |
ISSN: | 2434-3889 |
DOI: | 10.32298/kyushupt.2024.0_105_3 |