臓器・組織提供を希望する家族の意思決定支援

臓器・組織提供者の多くは突然の発症で重篤な状態であり、家族も危機的な心理状態にある。そのような中、回復不可能であることを診断、告知され、家族は残された時間に限りがあることを認識する中で様々な意思決定を行う。その中の1つに患者の臓器・組織提供がある。現行臓器移植法下の脳死下臓器提供においては、本人意思不明の家族承諾例が約8割を占め、本人意思不明な中、家族が意思決定する負担は大きいと考える。現在、臓器あっせんと組織あっせんは統合されておらず、それぞれの移植コーディネーター(Co)がインフォームド・コンセント(IC)を担当する。そのため、臓器移植Coの家族面談後に時間を置いて組織移植Coが面談に入る...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 222_1
Main Authors 朝居, 朋子, 田中, 秀治, 三宅, 康史, 横田, 裕行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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Summary:臓器・組織提供者の多くは突然の発症で重篤な状態であり、家族も危機的な心理状態にある。そのような中、回復不可能であることを診断、告知され、家族は残された時間に限りがあることを認識する中で様々な意思決定を行う。その中の1つに患者の臓器・組織提供がある。現行臓器移植法下の脳死下臓器提供においては、本人意思不明の家族承諾例が約8割を占め、本人意思不明な中、家族が意思決定する負担は大きいと考える。現在、臓器あっせんと組織あっせんは統合されておらず、それぞれの移植コーディネーター(Co)がインフォームド・コンセント(IC)を担当する。そのため、臓器移植Coの家族面談後に時間を置いて組織移植Coが面談に入ることもあり、家族は死後の提供の説明を複数回聞かされることになる。組織提供の情報経路分析(2018年)によると、約7割が日本臓器移植ネットワークか都道府県移植Coからの連絡である。中には死亡直後の連絡もあるが、死亡前の連絡の場合、臓器移植Coと同時に家族面談に入れることが望ましい。そのためには、Co間の連携醸成と役割分担、教育制度と認定、将来的には臓器あっせんと組織あっせんの統合が今後の課題である。また、厚生労働省研究班で研究されている重症患者対応メディエーター(仮称)は、重症患者の入院時から継続的に関わり、家族に精神的支援を行い、患者が脳死となった場合には大きな役割を担うことが期待されている。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_222_1