クロスマッチ陽性生体腎移植の臨床的検討

DSAは抗体関連型拒絶反応のリスク因子であり、①CDC陽性②FCXM陽性③FCXM陰性でDSA陽性の順にDSAの力価が高いと考えられている。クロスマッチ陽性腎移植における脱感作療法後のAMR発生率は12-60%と報告されているが、DSAの力価によりAMRの発生率は異なる。今回われわれは2011年から2019年までに当院で施行された生体腎移植の77例を対象として、FCXM陽性(グループ①、26例)、FCXM陰性でDSA陽性(グループ②、3例)、FCXM陰性(グループ③、48例)に分けて拒絶反応の発生率、CMV抗原血症、生着率について検討した。輸血、妊娠、移植の感作歴はグループ①、②、③でそれぞれ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 55; no. Supplement; p. 397_1
Main Authors 藤田, 高史, 栃木, 宏介, 石田, 昇平, 舟橋, 康人, 松川, 宜久, 田中, 章仁, 齋藤, 尚二, 安田, 宣成, 丸山, 彰一, 加藤, 真史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:DSAは抗体関連型拒絶反応のリスク因子であり、①CDC陽性②FCXM陽性③FCXM陰性でDSA陽性の順にDSAの力価が高いと考えられている。クロスマッチ陽性腎移植における脱感作療法後のAMR発生率は12-60%と報告されているが、DSAの力価によりAMRの発生率は異なる。今回われわれは2011年から2019年までに当院で施行された生体腎移植の77例を対象として、FCXM陽性(グループ①、26例)、FCXM陰性でDSA陽性(グループ②、3例)、FCXM陰性(グループ③、48例)に分けて拒絶反応の発生率、CMV抗原血症、生着率について検討した。輸血、妊娠、移植の感作歴はグループ①、②、③でそれぞれ53.8%、33.3%、20.8%、DSAはグループ①に3例、グループ②に3例確認された。脱感作療法としてリツキシマブはグループ①、②、③でそれぞれ65.4%、100%、35.4%に投与されていた。AMRの発生率はグループ①、②、③でそれぞれ15.4%、33.3%、2.1%であった。CMV抗原血症に対してVGCの投与を要した症例はグループ①、②、③でそれぞれ15.3%、33.3%、29.2%であった。3年生着率はグループ①、②、③でそれぞれ100%、100%、92.4%であった。FCXM陽性例およびDSA陽性例はFCXM陰性例に比較するとAMRの発生率は高いが、短期生着率に差は認めなかった。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_397_1