臓器機械灌流を活用した温度勾配分布計測による虚血障害予測

【目的】臓器機械灌流法は従来の単純冷却法では移植の判断の難しいマージナルドナーからの臓器に対して機械的に酸素や栄養などを臓器内に灌流させることで移植可能とするための技術である.特に臓器の保存回復のみならず灌流時の臓器機能評価への期待も大きい.特に,肝臓では確立された評価技術はなく,新たな視点からの虚血障害予測技術の革新が求められている.本研究では機械灌流時の灌流液の温度変化に着目しサーモカメラによる時系列温度勾配分布情報を用いた虚血障害予測手法を提案する.【方法】実験には体重約20kgのブタの肝臓を用い,温阻血時間を実験条件とし,摘出後4時間の機械灌流を行い,灌流液に微小の温度変化を与えサーモ...

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Published in移植 Vol. 55; no. Supplement; p. 260_2
Main Authors 小原, 弘道, 佐藤, 優樹, 松野, 直徒, 二方, 幹弥, 渡辺, 大智, 中條, 哲也, 絵野沢, 伸, 平野, 俊彦, 暮地本, 宙己, 古川, 博之, 梨井, 康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
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Summary:【目的】臓器機械灌流法は従来の単純冷却法では移植の判断の難しいマージナルドナーからの臓器に対して機械的に酸素や栄養などを臓器内に灌流させることで移植可能とするための技術である.特に臓器の保存回復のみならず灌流時の臓器機能評価への期待も大きい.特に,肝臓では確立された評価技術はなく,新たな視点からの虚血障害予測技術の革新が求められている.本研究では機械灌流時の灌流液の温度変化に着目しサーモカメラによる時系列温度勾配分布情報を用いた虚血障害予測手法を提案する.【方法】実験には体重約20kgのブタの肝臓を用い,温阻血時間を実験条件とし,摘出後4時間の機械灌流を行い,灌流液に微小の温度変化を与えサーモカメラを用いて臓器の時空間温度分布計測を行った.画像処理には機械灌流中時,胆嚢温度を基準とし肝臓全面積に対する比として得られる二値化面積率,ならびに時空間温度計測情報から温度勾配分布を処理し評価をおこなった.【結果】灌流液の温度変化に対応する温度分布の二値化面積率,温度勾配分布特性を評価することで移植後の虚血障害を評価可能な血液再灌流時における各種評価指標との関係性が示され,複合的な評価により虚血障害領域との関係性を確認することができた.【結語】臓器機械灌流時のサーモカメラによる時系列温度勾配分布情報による肝臓内の流動状況評価から虚血障害予測の可能性を示した.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_260_2