腎移植後のマムシ咬傷の1例

症例は66歳、男性。3年4か月前に妻をドナーとする血液型適合生体腎移植術を受け、sCr1.5mg/dl程度で安定していた。真夏の草刈り時に、右示指にチクッとした痛みを感じ、マムシを目視した。すぐに近医を受診し、マムシ咬傷の診断で入院となり補液、セファゾリン、セファランチンの投与で経過を診ていた。咬傷後3日目にマムシ咬傷による腫脹と発赤が右肩関節を超えて体幹まで及び、肝酵素およびCKの上昇と複視を認めたためマムシ咬傷gradeⅤの判断となり、移植施設である当院へドクターヘリ搬送された。すぐに乾燥まむしウマ抗毒素の皮内試験を行ったが陽性であったため投与を見送り、十分な補液のみで対応した。その後、D...

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Published in移植 Vol. 55; no. Supplement; p. 374_3
Main Authors 安藤, 忠助, 中島, 駿佑, 鈴木, 駿太郎, 藤浪, 弘行, 山中, 直行, 佐藤, 吉泰, 篠原, 麻由香, 溝口, 晋輔, 佐藤, 竜太, 甲斐, 友喜, 羽田, 真郎, 澁谷, 忠正, 秦, 聡孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
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Summary:症例は66歳、男性。3年4か月前に妻をドナーとする血液型適合生体腎移植術を受け、sCr1.5mg/dl程度で安定していた。真夏の草刈り時に、右示指にチクッとした痛みを感じ、マムシを目視した。すぐに近医を受診し、マムシ咬傷の診断で入院となり補液、セファゾリン、セファランチンの投与で経過を診ていた。咬傷後3日目にマムシ咬傷による腫脹と発赤が右肩関節を超えて体幹まで及び、肝酵素およびCKの上昇と複視を認めたためマムシ咬傷gradeⅤの判断となり、移植施設である当院へドクターヘリ搬送された。すぐに乾燥まむしウマ抗毒素の皮内試験を行ったが陽性であったため投与を見送り、十分な補液のみで対応した。その後、DIC、各種臓器障害を認めず、腫脹や複視も改善したため、当院入院後10日目にsCr1.7mg/dlで自宅退院となった。考察:マムシ咬傷自体は地方では珍しくなく、死亡率も高くない。腎移植後の患者においても一般的な対処と同様で腎不全予防を主とした早期からの全身管理が重要である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_374_3