最適化を目指した抗体除去療法
血液型不適合生体腎移植に対する術前抗体除去療法には回数・方法などに明確な指標がない。確実にAMRの発症を防ぐことが第一であるが、過剰な抗体除去は循環動態への影響やアレルギー反応など患者の負担も大きく、医療資源の過剰使用も懸念されるため、過不足のない抗体除去を目指すべきである。当院では2005年より血液型不適合腎移植を行っており、抗体価に応じて、titer≦32 抗体除去、64≦ ≦128 PE1回、256≦ DFPP3回+PE1回のプロトコールで行ってきた。しかし、抗体除去の症例でAMRの発症がみられたことや、PEによるアレルギー反応、AB型新鮮凍結血漿の過剰使用等が問題であると考え、2013...
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Published in | 移植 Vol. 55; no. Supplement; p. 396_2 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2020
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Summary: | 血液型不適合生体腎移植に対する術前抗体除去療法には回数・方法などに明確な指標がない。確実にAMRの発症を防ぐことが第一であるが、過剰な抗体除去は循環動態への影響やアレルギー反応など患者の負担も大きく、医療資源の過剰使用も懸念されるため、過不足のない抗体除去を目指すべきである。当院では2005年より血液型不適合腎移植を行っており、抗体価に応じて、titer≦32 抗体除去、64≦ ≦128 PE1回、256≦ DFPP3回+PE1回のプロトコールで行ってきた。しかし、抗体除去の症例でAMRの発症がみられたことや、PEによるアレルギー反応、AB型新鮮凍結血漿の過剰使用等が問題であると考え、2013年よりプロトコールを変更した。titer≦64を目標とし、≦128 DFPP1回、256 DFPP2回、512 DFPP3回、1024≦ DFPP3回+PE1回としている。2005年10月〜2018年2月までに98名の血液型不適合腎移植を行い、64 名が旧プロトコール群、34名が新プロトコール群であった。AMRの発症は旧プロトコール群:新プロトコール群で4/64(6.3%):2/34(5.9%)と有意差を認めなかった。術当日朝に測定した抗体価では新プロトコール群でIgG/IgM:8/2(中央値, 1-256/1-64)であった。現時点で新プロトコールは有用であると考えられた。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.55.Supplement_396_2 |