C–H結合の活性化を経る環境調和型有機分子変換のためのルテニウム触媒系の開発

石油化学製品に多く含まれるC–H結合等の不活性結合の切断変換による高選択的なC–C結合の生成は,天然物や医薬品など複雑な炭素骨格を一気に効率よく構築できる魅力的な手段である。一方,遷移金属の中でもルテニウムは潜在的に高いC–H結合活性化能を有することが知られている。本論文では,ルテニウムを酸化セリウムあるいは酸化ジルコニウムに担持した触媒(Ru/CeO2あるいはRu/ZrO2)の優れた触媒性能について紹介する。本触媒は安定なC–H結合の切断を経るC–C結合生成反応など種々の分子変換反応に対し,均一系触媒を上回る,あるいはそれに匹敵する活性を示し,かつ反応後は再生利用可能,金属の生成物への混入が...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 66; no. 1; pp. 8 - 14
Main Authors 三浦, 大樹, 宍戸, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 石油学会 01.01.2023
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ISSN1346-8804
1349-273X
DOI10.1627/jpi.66.8

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Summary:石油化学製品に多く含まれるC–H結合等の不活性結合の切断変換による高選択的なC–C結合の生成は,天然物や医薬品など複雑な炭素骨格を一気に効率よく構築できる魅力的な手段である。一方,遷移金属の中でもルテニウムは潜在的に高いC–H結合活性化能を有することが知られている。本論文では,ルテニウムを酸化セリウムあるいは酸化ジルコニウムに担持した触媒(Ru/CeO2あるいはRu/ZrO2)の優れた触媒性能について紹介する。本触媒は安定なC–H結合の切断を経るC–C結合生成反応など種々の分子変換反応に対し,均一系触媒を上回る,あるいはそれに匹敵する活性を示し,かつ反応後は再生利用可能,金属の生成物への混入がほとんどないなどの優れた環境調和性能を示す。さらに,均一系のルテニウム錯体触媒による芳香族カルボン酸や芳香族アミドに含まれる不活性なC(sp2)–H結合のアルキン,アルデヒド,ケトン,イミンなどへの付加環化反応を利用した複素環化合物の一段階構築手法についても併せて紹介する。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.66.8