当院における投球教室参加者と投球障害患者の年齢層の比較

【目的】当院では野球選手を対象に投球障害の予防と早期発見を目的として投球教室を開催している。野球肘は11~12歳、野球肩は15~16歳が発生のピークとされており、投球教室では各年代に適切に対応することが望ましい。しかし、当院の投球教室参加者の年齢層には偏りがあるように感じている。本研究の目的は、当院における投球教室参加者と投球障害患者の年齢層を比較し、障害予防の取り組みを検討することである。【方法】投球教室参加者の年齢層は、2014年2月~2015年12月までの間に開催した投球教室におけるアンケートより抽出した。投球障害患者は、2014年4月~2016年1月までの初診の野球選手の内、投球障害肩...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2016; p. 266
Main Authors 鮫島, 徹也, 吉田, 研吾, 鮫島, 智志, 濱田, 大介, 前田, 和彦, 白尾, 泰宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2016
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2016.0_266

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Summary:【目的】当院では野球選手を対象に投球障害の予防と早期発見を目的として投球教室を開催している。野球肘は11~12歳、野球肩は15~16歳が発生のピークとされており、投球教室では各年代に適切に対応することが望ましい。しかし、当院の投球教室参加者の年齢層には偏りがあるように感じている。本研究の目的は、当院における投球教室参加者と投球障害患者の年齢層を比較し、障害予防の取り組みを検討することである。【方法】投球教室参加者の年齢層は、2014年2月~2015年12月までの間に開催した投球教室におけるアンケートより抽出した。投球障害患者は、2014年4月~2016年1月までの初診の野球選手の内、投球障害肩または肘と診断された者をカルテより抽出した。【結果】投球教室は期間中全5回で、参加者は延べ75名、年齢層は12歳以下22名(29.3%)、13~15歳42名(56.0%)、16~18歳4名(5.3%)、19歳以上は5名(6.7%)、年齢未記入2名(2.7%)であった。期間中に投球障害と診断された患者は384名、年齢層は12歳以下70名(18.2%)、13~15歳130名(33.9%)、16~18歳135名(35.2%)、19歳以上は49名(12.8%)であった。【考察】当院の投球障害患者数は16~18歳で35.2%と最多であったにもかかわらず、同年代の投球教室参加者は5.3%と最も少なかった。同年代の投球教室参加者が少ない理由として、当院で実施したアンケート結果から高校生の練習日は1週間に6~7日である場合が多く、教室参加の時間が取れない可能性が考えられた。今後、高校生の参加者を増やすためには、指導者と保護者に対しても投球障害の啓蒙を行っていく必要があると思われる。具体策としては院内掲示やホームページを活用し、情報を発信したり、投球教室やリハビリ実施時に保護者とも積極的にコミュニケーションをとったりする等の対策を考えている。【まとめ】当院の投球障害患者数は16~18歳で35.2%と最多であったにもかかわらず、同年代の投球教室参加者は5.3%と最も少なかった。今後、高校生の投球教室への参加を高めていく取り組みが必要である。【倫理的配慮,説明と同意】なお今回、厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い、データの抽出は最小限に、かつ取扱いの注意や匿名化など十分に配慮した上で行った。
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2016.0_266