重症患者の家族サポートに関する指針の作成に向けて
現在、厚生労働科学研究「5類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究」(研究代表者 嶋津岳士)において、我々ドナー家族サポート体制班は、指針作成を進めている。臓器・組織の提供体制構築において、ドナー家族のサポート体制は極めて重要な位置を占める。しかし、救急診療科や脳外科等、臓器提供側の医療・ケアチームにとっては、最初から「ドナー家族」が存在するわけではない。あくまで救命を目的に治療を行う患者の家族がいて、必要に応じて患者家族の支援を行い、結果的に「ドナー家族」に対する支援につながることになる。従って、本指針における家族サポートの重要な点は、臓器提供ありきの家族サポートではない...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 237_1 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2020
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.55.Supplement_237_1 |
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Summary: | 現在、厚生労働科学研究「5類型施設における効率的な臓器・組織の提供体制構築に資する研究」(研究代表者 嶋津岳士)において、我々ドナー家族サポート体制班は、指針作成を進めている。臓器・組織の提供体制構築において、ドナー家族のサポート体制は極めて重要な位置を占める。しかし、救急診療科や脳外科等、臓器提供側の医療・ケアチームにとっては、最初から「ドナー家族」が存在するわけではない。あくまで救命を目的に治療を行う患者の家族がいて、必要に応じて患者家族の支援を行い、結果的に「ドナー家族」に対する支援につながることになる。従って、本指針における家族サポートの重要な点は、臓器提供ありきの家族サポートではないこと、そして治療の開始時点から患者および家族に寄り添い、患者にとって最善の治療・ケアを目指すことにある。以上より、本指針のタイトルを「ドナー家族」とはせずに「重症患者の家族サポートに関する指針」とした。「重症患者」とは、来院時もしくはその後に重篤な意識障害を呈する患者を想定している。また、対応時期のめやすとなるよう、項目を、1.家族サポートのための準備、2.重症患者の来院~入院、3.入院後~約1週間、4.入院後約1週間以降に分けて作成した。加えて、5.臓器提供に同意した後の家族のサポート体制、および6. スタッフのサポート体制についても言及した。現時点での状況と今後の進め方について紹介したい。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.55.Supplement_237_1 |