高齢摂食障害患者を支える栄養管理

摂食障害の好発年齢は思春期・青年期であるが,近年,高齢の摂食障害患者が増加している。高齢摂食障害患者の食事内容や食環境は,若年患者と異なる特徴をもつ。高齢者における低栄養は,社会的要因や精神的心理的要因だけでなく,加齢に伴う臭覚・味覚障害や食欲不振などの身体的な要因が関与している。特に消化管の機能変化や筋肉量の減少は,高齢摂食障害患者の栄養療法に影響を及ぼす。高齢摂食障害患者の栄養療法では,易消化食や消化態栄養剤が相対的に適しており,エネルギー量だけではなく蛋白質の十分な摂取も重要となる。このように,高齢摂食障害患者では摂食障害の病態に加え,加齢に伴う身体的な変化と食生活上の特徴を念頭においた...

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Published in日本摂食障害学会雑誌 Vol. 1; no. 1; pp. 37 - 42
Main Author 澤田, 実佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食障害学会 04.06.2021
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ISSN2436-0139
DOI10.50983/jjed.1.1_37

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Summary:摂食障害の好発年齢は思春期・青年期であるが,近年,高齢の摂食障害患者が増加している。高齢摂食障害患者の食事内容や食環境は,若年患者と異なる特徴をもつ。高齢者における低栄養は,社会的要因や精神的心理的要因だけでなく,加齢に伴う臭覚・味覚障害や食欲不振などの身体的な要因が関与している。特に消化管の機能変化や筋肉量の減少は,高齢摂食障害患者の栄養療法に影響を及ぼす。高齢摂食障害患者の栄養療法では,易消化食や消化態栄養剤が相対的に適しており,エネルギー量だけではなく蛋白質の十分な摂取も重要となる。このように,高齢摂食障害患者では摂食障害の病態に加え,加齢に伴う身体的な変化と食生活上の特徴を念頭においた個別化した対応が重要である。
ISSN:2436-0139
DOI:10.50983/jjed.1.1_37