抗ドナーHLA classⅡ陽性ドナーからの心臓移植例の経験

【背景】本邦では HLA classⅠのLCTが陽性の心臓移植は禁忌であるがHLA classⅡのLCTが陽性の場合には移植施設の判断の下で移植が実施される。【症例】57歳女性、第2子妊娠時に拡張型心筋症と診断され移植登録した。抗HLA抗体はclassⅠ/classⅡともに陽性(MFI1000以上)であった(classⅠで12種類、classⅡで6種類保有)。約4年の待機を経て心臓移植を実施した(ドナーHLA-A11/A24-B35/B62-DR4/DR4、レシピエントHLA-A2/A24-B35/B52-DR8/DR15)。DSAはHLA-DR4で陽性であり(MFI7179)、補体結合能(C...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 396_3
Main Authors 岩崎, 陽一, 筋野, 容守, 米山, 将太郎, 福嶌, 五月, 八木, 信一朗, 黒田, 健輔, 藤田, 知之, 姉川, 英志, 簗瀬, 正伸, 中島, 誠子, 吉竹, 功央一, 渡邉, 琢也, 瀬口, 理, 望月, 宏樹, 福嶌, 教偉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_396_3

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Summary:【背景】本邦では HLA classⅠのLCTが陽性の心臓移植は禁忌であるがHLA classⅡのLCTが陽性の場合には移植施設の判断の下で移植が実施される。【症例】57歳女性、第2子妊娠時に拡張型心筋症と診断され移植登録した。抗HLA抗体はclassⅠ/classⅡともに陽性(MFI1000以上)であった(classⅠで12種類、classⅡで6種類保有)。約4年の待機を経て心臓移植を実施した(ドナーHLA-A11/A24-B35/B62-DR4/DR4、レシピエントHLA-A2/A24-B35/B52-DR8/DR15)。DSAはHLA-DR4で陽性であり(MFI7179)、補体結合能(C1q)は陰性であったが、LCTもclassⅡで陽性であった。Basiliximab,Tac,MMF,mPSLによる免疫抑制療法を行った。直後のDSAは陰性であった。術後1週目にAMR(ISHLT Grade pAMR2)を認め(心機能はLVEF 75%)、HLA-DR4-DSAはMFI21980でC1qも陽性でステロイドパルスを行った。術後4週目まではpAMR2の所見を認めたが、その後DSAは陰性化し、AMRは認めず退院となった。経過中、HLA-A,Bに対するDSAの出現はなかった。移植後1年目の時点でPSL5mg/日内服下でDSAは陰性でありAMRは認めず、移植心冠動脈病変の進行もなかった。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_396_3