複雑系にひそむ規則性 : 対数正規分布を軸にして(交流)

正規分布は,数学や物理学において最も基本的で,重要な分布関数と考えられている.例えば,実験観測の測定誤差が正規分布に従うというのは,よく知られた事実である.だが実際には,自然界や人間社会に見られる「複雑系」とも称される系においては,べき分布や対数正規分布などの裾の長い分布関数が観測されることが多い.本稿では,対数正規分布が出現する数理的なメカニズムを紹介し,対数正規分布を基本としてべき分布や正規分布が出現し得るということを紹介する.また,自然現象や社会現象に見られる対数正規分布と,その出現メカニズムについて考察する....

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Bibliographic Details
Published in日本物理学会誌 Vol. 66; no. 9; pp. 658 - 665
Main Authors 國仲, 寛人, 小林, 奈央樹, 松下, 貢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本物理学会 05.09.2011
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ISSN0029-0181
2423-8872
DOI10.11316/butsuri.66.9_658

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Summary:正規分布は,数学や物理学において最も基本的で,重要な分布関数と考えられている.例えば,実験観測の測定誤差が正規分布に従うというのは,よく知られた事実である.だが実際には,自然界や人間社会に見られる「複雑系」とも称される系においては,べき分布や対数正規分布などの裾の長い分布関数が観測されることが多い.本稿では,対数正規分布が出現する数理的なメカニズムを紹介し,対数正規分布を基本としてべき分布や正規分布が出現し得るということを紹介する.また,自然現象や社会現象に見られる対数正規分布と,その出現メカニズムについて考察する.
ISSN:0029-0181
2423-8872
DOI:10.11316/butsuri.66.9_658