組織適合性検査

2018年10月に出版された臓器移植抗体陽性診療ガイドラインについては、組織適合性検査として長い歴史のあるHLA抗体、クロスマッチ、HLAタイピングの要点を簡潔にまとめられている。ガイドライン策定にあたり、日本移植学会 医療標準化・移植関連検査委員会は、日本組織適合性学会(以下、JSHI)と協同で実施する精度管理(以下、QCワークショップ)事業を土台とし連携し、JSHIが出す参考プロトコルを活用している。抗HLA抗体の保険収載は、このQCワークショップに参加し、学会が定める指針に遵守した検査を実施していることを施設基準として定められている。一方、検査方法に目を向けると、抗体検査ではnMFIの取...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 189_1
Main Author 橋口, 裕樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.Supplement_189_1

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Summary:2018年10月に出版された臓器移植抗体陽性診療ガイドラインについては、組織適合性検査として長い歴史のあるHLA抗体、クロスマッチ、HLAタイピングの要点を簡潔にまとめられている。ガイドライン策定にあたり、日本移植学会 医療標準化・移植関連検査委員会は、日本組織適合性学会(以下、JSHI)と協同で実施する精度管理(以下、QCワークショップ)事業を土台とし連携し、JSHIが出す参考プロトコルを活用している。抗HLA抗体の保険収載は、このQCワークショップに参加し、学会が定める指針に遵守した検査を実施していることを施設基準として定められている。一方、検査方法に目を向けると、抗体検査ではnMFIの取り扱い、非特異反応、non HLA抗体など新たな課題も見えてきた。タイピングにおいては、C,DQ,DPローカスの必要性、解像度レベルの高い4桁タイピングへの移行などが挙げられる。またクロスマッチでは、各検査施設での施設間差は少なからず認め、特にCDC法においては移植の可否に直結する結果となることがあり、プロトコルの修正も必要である。平成30年に移植後の抗HLA抗体測定が保険収載となり、令和2年に移植前の抗体検査も収載となったことで、今後、抗体を中心とした組織適合性検査は重要性を増してくる。臨床、検査技術者にとっても有用であるようガイドラインラインのbrush upを実施していきたい。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_189_1