萌芽期以前の気象データを用いた茶の摘採適期早期予測の試み

摘採時期が品質に大きな影響を及ぼすチャの栽培において,綿密な収穫計画を立てるためには,早期の摘採適期予測が必要である.しかしながら,従来の予測モデルは,萌芽日の情報が必要であり,また,摘採適期の2週間前頃に予測を行うものであった.本研究では,京都府宇治市で栽培されたチャ「やぶきた」,「さやまかおり」,「おくみどり」の10–19年分の摘採適期を,その約1か月前である萌芽期以前の気象データ(日平均気温・日最高気温・日最低気温のいずれか1つ,日平均相対湿度,日降水量,日照時間)の積算値から予測する線形重回帰モデルを,ステップワイズ法によって作成した.積算期間は,3月1日から平均の萌芽日までで,積算日...

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Published in農業情報研究 Vol. 33; no. 1; pp. 1 - 13
Main Authors 曹, 巍, 下司, 純也, 藤岡, 宏樹, 松本, 宜大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 農業情報学会 01.04.2024
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ISSN0916-9482
1881-5219
DOI10.3173/air.33.1

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Summary:摘採時期が品質に大きな影響を及ぼすチャの栽培において,綿密な収穫計画を立てるためには,早期の摘採適期予測が必要である.しかしながら,従来の予測モデルは,萌芽日の情報が必要であり,また,摘採適期の2週間前頃に予測を行うものであった.本研究では,京都府宇治市で栽培されたチャ「やぶきた」,「さやまかおり」,「おくみどり」の10–19年分の摘採適期を,その約1か月前である萌芽期以前の気象データ(日平均気温・日最高気温・日最低気温のいずれか1つ,日平均相対湿度,日降水量,日照時間)の積算値から予測する線形重回帰モデルを,ステップワイズ法によって作成した.積算期間は,3月1日から平均の萌芽日までで,積算日数が30日以内となるすべての組み合わせとし,Leave-One-Out交差検証による検証データの摘採適期の予測値と実測値の絶対誤差の平均値(MAEtest)が最小となるモデルを選出した.その結果,予測値と実測値の平均絶対誤差が0.8–2.0日となり,いずれの品種でも実用上十分な精度で予測ができた.また,MAEtestは1.0–2.3日となり,萌芽期以降の気象データの積算値を用いた従来のモデルによるMAEtestより小さくなった.以上より,チャの摘採適期をその約1か月前までに予測し得ることが示された.
ISSN:0916-9482
1881-5219
DOI:10.3173/air.33.1