シメチジンの用量と薬物相互作用発現の関係: 文献調査ならびにテオフィリン体内動態の変動
「緒言」H2受容体拮抗薬シメチジン(CIM)は, 多くの併用薬物との間で相互作用を引き起こすことが知られている. Fig. 1に示すように, 1998年4月に改訂されたCIMの添付文書には, 併用により体内動態変動を生じるおそれがあるものとして31品目もの薬物が記載されており1), そのうちの29品目が影響される機序は, CIMが肝臓の薬物代謝酵素(CYP)を阻害することによる代謝消失の遅延である2). ところで, 薬物療法の現場ではこれらの情報にもとづいた該当薬剤名の組み合わせのチェックを通して, 相互作用発現の未然回避がはかられている. 一方, CIMの薬物代謝酵素阻害作用は濃度依存的であ...
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Published in | 病院薬学 Vol. 26; no. 5; pp. 478 - 484 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本医療薬学会
10.10.2000
日本病院薬学会 |
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ISSN | 0389-9098 2185-9477 |
DOI | 10.5649/jjphcs1975.26.478 |
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Summary: | 「緒言」H2受容体拮抗薬シメチジン(CIM)は, 多くの併用薬物との間で相互作用を引き起こすことが知られている. Fig. 1に示すように, 1998年4月に改訂されたCIMの添付文書には, 併用により体内動態変動を生じるおそれがあるものとして31品目もの薬物が記載されており1), そのうちの29品目が影響される機序は, CIMが肝臓の薬物代謝酵素(CYP)を阻害することによる代謝消失の遅延である2). ところで, 薬物療法の現場ではこれらの情報にもとづいた該当薬剤名の組み合わせのチェックを通して, 相互作用発現の未然回避がはかられている. 一方, CIMの薬物代謝酵素阻害作用は濃度依存的であることが知られており3, 4), その臨床用量に400-800mg/dayと幅のあること1)を考慮すると, その用量如何によっては併用される相手薬物の体内動態の変動の程度は一様ではないものと思われる. しかし, この点に関しての明確な情報は乏しい状況にある. この観点から本研究では, CIM添付文書の相互作用の項に記載されている薬物のうち, CYP阻害にもとづいて体内動態が変動するとされる29品目の薬物を対象に, その体内動態変動を報じた原著論文5-54)を調査し, 当該薬物のクリアランス(CL)の変動率とCIMの用量との関係を解析した. また, 体内動態変動を受けるとされる薬物のうちテオフィリン(TP)をモデルとしてとりあげ, TPを健常人に経口投与したときの血中濃度が, 併用されるCIMの1日用量に依存して変動するか否かを検討した. |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.26.478 |