未病とストレス ストレスと疲労を科学し, その克服法を探る
疲労は, 「過度の肉体的, 精神的な活動により生じた独特の病的不快感と, 休養を求める欲求を伴う身体および精神機能の減退状態」と定義される。一般に体感する「疲労感」は, 主観的であいまいな尺度であり, 意欲や達成感により容易にマスクされてしまう。現実に, 達成感のある仕事をしている人に過労死が多い。ゆえに, 「疲労感」だけで「疲労」という生体情報を評価することは危険であり, 主観に左右されずに血液・唾液・尿中の疲労物質や生理学的変化により定量化することが非常に重要であると考えられる。 一般に, 身体および精神機能の減弱として出現する疲労の主症状は, 疲労感知機構の中枢と考えられる前頭葉機能およ...
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Published in | 日本未病システム学会雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 28 - 31 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本未病システム学会
2006
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ISSN | 1347-5541 2185-2162 |
DOI | 10.11288/mibyou1998.12.28 |
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Summary: | 疲労は, 「過度の肉体的, 精神的な活動により生じた独特の病的不快感と, 休養を求める欲求を伴う身体および精神機能の減退状態」と定義される。一般に体感する「疲労感」は, 主観的であいまいな尺度であり, 意欲や達成感により容易にマスクされてしまう。現実に, 達成感のある仕事をしている人に過労死が多い。ゆえに, 「疲労感」だけで「疲労」という生体情報を評価することは危険であり, 主観に左右されずに血液・唾液・尿中の疲労物質や生理学的変化により定量化することが非常に重要であると考えられる。 一般に, 身体および精神機能の減弱として出現する疲労の主症状は, 疲労感知機構の中枢と考えられる前頭葉機能および自律神経機能と大きく関係している。ゆえに, 疲労を生理学的に定量化するには, ワーキングメモリなどの前頭葉機能, および脈波などの自律神経機能の個体内変化を客観的かつ鋭敏に評価できるバイオマーカーの開発が不可欠である。また, 疲労負荷時の血液, 唾液, 尿, 脳機瀧イメージングなどから得た生化学, 免疫学的バイオマーカーは, 疲労の負荷の種類 (身体負荷, 精神作業負荷, 感染などの免疫学的負荷, 温熱などの環境負荷) により, その動きが異なる。ゆえに, 疲労を客観的に定量評価するには, 疲労の種類に応じたバイオマーカーの開発が必要である。 |
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ISSN: | 1347-5541 2185-2162 |
DOI: | 10.11288/mibyou1998.12.28 |