尿路感染症を契機に敗血症性ショック、ARDSを発症した高齢生体腎移植レシピエントの1例
【緒言】高齢腎移植レシピエントは過剰免疫抑制による感染症の発症や重症化に留意が必要である。敗血症性ショックから急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)を発症したが、加療により救命し得た1例を経験したので報告する。【症例】78歳男性。66歳時に、9年間の血液透析を経て、妻をドナーとする生体腎移植を施行した。シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、メチルプレドニゾロンで維持免疫抑制を行った。移植後発症糖尿病にてインスリン導入となった。移植後11年目に神経因性膀胱のため自己導尿開始となった。認知機能に問題あり、排尿管理は困難であった。...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 387_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2020
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.55.Supplement_387_1 |
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Summary: | 【緒言】高齢腎移植レシピエントは過剰免疫抑制による感染症の発症や重症化に留意が必要である。敗血症性ショックから急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)を発症したが、加療により救命し得た1例を経験したので報告する。【症例】78歳男性。66歳時に、9年間の血液透析を経て、妻をドナーとする生体腎移植を施行した。シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、メチルプレドニゾロンで維持免疫抑制を行った。移植後発症糖尿病にてインスリン導入となった。移植後11年目に神経因性膀胱のため自己導尿開始となった。認知機能に問題あり、排尿管理は困難であった。免疫抑制剤調整するも移植腎腎盂腎炎を繰り返していた。導尿回数を増やしたが、重症尿路感染症から敗血症性ショック、ARDSを発症し、ICU管理となり、昇圧剤・人工呼吸管理・持続的血液濾過透析による全身管理および抗生剤投与・エンドトキシン吸着療法による治療を行った。入院5日目で全身状態・画像所見改善を認め、ICU退室となった。抗生剤継続・免疫抑制剤の調整・尿道カテーテル留置により入院1か月後に退院となった。【結語】尿路感染症を契機に敗血症性ショック・ARDSを発症したが、集学的治療・免疫抑制剤の調整・排尿管理により救命し得た高齢生体腎移植レシピエントの1例を経験したので考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.55.Supplement_387_1 |