進行性家族性肝内胆汁うっ滞症3型 (PFIC3)に対して生体肝移植を実施した男児例

【背景】進行性家族性肝内胆汁うっ滞症3型(PFIC3)は,ABCB4遺伝子変異によりMDR3蛋白異常をきたし,進行性の肝内胆汁うっ滞性の肝機能障害をきたす稀な疾患である.発症時期は他の病型と異なり,乳児期から成人に至るまでさまざまである.今回,学童期に肝不全をきたしたPFIC3に対する生体肝移植を経験したので報告する.【症例】6歳男児.家族歴.生後2ヵ月頃から肝機能障害を認め,生後8ヵ月から肝脾腫を認めた.1歳時の肝生検で,著明な胆管障害と類洞の線維化および門脈域へのリンパ球浸潤を認め,網羅的遺伝子解析でABCB4に,ホモ接合性にミスセンス変異を認め,PFIC3と診断した.外来経過中は黄疸を認...

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Published in移植 Vol. 55; no. Supplement; p. 347_2
Main Authors 正畠, 和典, 上野, 豪久, 岩崎, 駿, 五味, 卓, 當山, 千巌, 出口, 幸一, 野村, 元成, 阪, 龍太, 渡邊, 美穂, 田附, 裕子, 福井, 美穂, 里村, 宣紀, 別所, 一彦, 奥山, 宏臣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
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Summary:【背景】進行性家族性肝内胆汁うっ滞症3型(PFIC3)は,ABCB4遺伝子変異によりMDR3蛋白異常をきたし,進行性の肝内胆汁うっ滞性の肝機能障害をきたす稀な疾患である.発症時期は他の病型と異なり,乳児期から成人に至るまでさまざまである.今回,学童期に肝不全をきたしたPFIC3に対する生体肝移植を経験したので報告する.【症例】6歳男児.家族歴.生後2ヵ月頃から肝機能障害を認め,生後8ヵ月から肝脾腫を認めた.1歳時の肝生検で,著明な胆管障害と類洞の線維化および門脈域へのリンパ球浸潤を認め,網羅的遺伝子解析でABCB4に,ホモ接合性にミスセンス変異を認め,PFIC3と診断した.外来経過中は黄疸を認めなかったが,6歳時,身長-5.2SD, 体重-3.0SDの著明な成長障害と黄疸を認め急速に肝不全へと進行し(PELDスコア36),肝移植の適応と判断した.6歳4ヵ月に父親をドナーとした外側区域グラフトを用いた生体部分肝移植を施行した.術後経過は良好である.【考察】PFIC3の重症度と遺伝子型には関連があると報告されており,早期に肝不全に至った症例が散見される.PFIC3では,本症例のように急速に進行する症例もあることから,早期の移植評価が必要であろう.PFIC3は対する肝移植は有効な治療法であるが,長期予後は不明であるため,厳重な経過観察が必要である.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.Supplement_347_2