香川大学医学部附属病院で施行した膵腎同時移植における移植腎の治療成績
【目的】1型糖尿病に伴う末期腎不全に対する根治治療として膵腎同時移植(SPK)がある。当院は四国で唯一の膵腎移植施設であり、2010年に初の脳死下膵腎同時移植を施行した。当院のSPKにおける腎移植の成績を検討した。【対象・方法】対象は2010年12月から2019年12月までに施行したSPK 8例。生存率、腎生着率はKaplan-Meier法で算出した。【結果】男性1例、女性7例、年齢は34~68歳。原疾患は1型糖尿病で、日本臓器移植ネットワーク登録後から移植に至るまでの期間は2~65ヶ月(同22.5ヶ月)で3例は3ヶ月以内であった。graft腎は全例左腸骨窩に移植、手術時間(同)706.5分、...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 55; no. Supplement; p. 359_3 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2020
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.55.Supplement_359_3 |
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Summary: | 【目的】1型糖尿病に伴う末期腎不全に対する根治治療として膵腎同時移植(SPK)がある。当院は四国で唯一の膵腎移植施設であり、2010年に初の脳死下膵腎同時移植を施行した。当院のSPKにおける腎移植の成績を検討した。【対象・方法】対象は2010年12月から2019年12月までに施行したSPK 8例。生存率、腎生着率はKaplan-Meier法で算出した。【結果】男性1例、女性7例、年齢は34~68歳。原疾患は1型糖尿病で、日本臓器移植ネットワーク登録後から移植に至るまでの期間は2~65ヶ月(同22.5ヶ月)で3例は3ヶ月以内であった。graft腎は全例左腸骨窩に移植、手術時間(同)706.5分、出血量(同)1591ml、入院日数(同)36日。免疫抑制療法は膵臓移植のプロトコールに沿って行い、3例目からはサイモグロブリン投与を行った。初回施行の1例は骨盤内膿瘍を契機に抗体関連拒絶を発症し、graft膵、graft腎摘出に至った。観察期間は5~108ヶ月(中央値:26カ月)で生存率は100%、移植腎生着率は1年87%、5年87%。Clavien-Dindo分類grade3以上の周術期合併症は膵グラフト周囲血種が4例であった。【結語】当施設におけるSPKの移植腎の成績は、諸家の報告と同等で、周術期の拒絶・合併症を回避できれば、その後の腎予後は良好であった。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.55.Supplement_359_3 |