下咽頭悪性腫瘍の臨床統計

2002年1月から2011年12月までの10年間に筑波大学附属病院耳鼻咽喉科で1次治療を行った下咽頭悪性腫瘍84例を対象として検討を行った。性別は男性76例, 女性8例であった。年齢は36歳から85歳までで, 平均年齢は66.0歳であった。病理組織は全例が扁平上皮癌で, 梨状陥凹 (PS) が70例で全体の83.3%と最も多く, 後壁 (PW) は8例で9.5%, 輪状後部 (PC) は6例で7.2%であった。病期は, stage Iが2例 (2.3%), stage IIが9例 (10.7%), stage IIIが5例 (6%), stage IVが68例 (81.0%) であった。同時性...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 56; no. Supplement1; pp. s92 - s96
Main Authors 西村, 文吾, 吉村, 知倫, 芦澤, 圭, 中山, 雅博, 廣瀬, 由紀, 星野, 朝文, 上前泊, 功, 飛田, 忠道, 田渕, 経司, 大久保, 英樹, 和田, 哲郎, 原, 晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 05.03.2013
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Summary:2002年1月から2011年12月までの10年間に筑波大学附属病院耳鼻咽喉科で1次治療を行った下咽頭悪性腫瘍84例を対象として検討を行った。性別は男性76例, 女性8例であった。年齢は36歳から85歳までで, 平均年齢は66.0歳であった。病理組織は全例が扁平上皮癌で, 梨状陥凹 (PS) が70例で全体の83.3%と最も多く, 後壁 (PW) は8例で9.5%, 輪状後部 (PC) は6例で7.2%であった。病期は, stage Iが2例 (2.3%), stage IIが9例 (10.7%), stage IIIが5例 (6%), stage IVが68例 (81.0%) であった。同時性重複癌をみとめたのは10例で, 肺癌が4例, 食道癌が3例, 胃癌が2例, 肝細胞癌が1例であった。全症例の疾患特異的5年生存率は53.8%で, 亜部位別5年生存率はPSが55%, PWが71.4%, PCは0%であった。咽頭喉頭頸部食道摘出術を行った群の5年生存率は76.5%で, 下咽頭癌全体の5年生存率を上回った。下咽頭癌は予後の悪い疾患ではあるが, 手術を含めた集学的治療により制御も可能であり, 早期発見とともに適切な治療方針の選択が予後の改善に必要であると考えられた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.56.s92