グラム陰性菌による呼吸器感染症に対するAztreonamの有効性, 安全性に関する臨床研究

Aztreonam(E-0734, AZT)は米国E. R. Squibb & Sons Inc. の研究所によつて創製された最初の全合成抗生物質である。 この抗生物質は, 従来のペニシリン系, セフェム系の薬剤とは異なり, 新しいグループであるモノバクタム系(Fig.1)に属する抗生物質である。モノバクタム系は, β-ラクタム単環だけを基本構造としており, AZTは, 米国ニュージャージー州の土壌中から採取されたChromobacterium violaceumが産生するモノバクタムを化学修飾して得られ, 後に全化学合成に成功したものである1)(Fig.2)。 AZTは好気性グラム陰...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 38; no. 11; pp. 3415 - 3433
Main Authors 橋上, 裕, 酒井, 秀造, 田中, 温子, 杉浦, 方信, 末次, 勸, 野村, 史郎, 鳥井, 義夫, 藤井, 晧, 千田, 嘉博, 森下, 宗彦, 吉井, 才司, 野田, 正治, 渡辺, 篤, 伊藤, 隆, 中西, 和夫, 山本, 正彦, 西脇, 敬祐, 天野, 博史, 小松, 健, 戸谷, 康信, 小林, 卓, 梅田, 博道, 鈴木, 隆元, 野村, 靖郎, 下方, 薫, 竹浦, 茂樹, 森田, みき子, 高納, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 1985
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.38.3415

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Summary:Aztreonam(E-0734, AZT)は米国E. R. Squibb & Sons Inc. の研究所によつて創製された最初の全合成抗生物質である。 この抗生物質は, 従来のペニシリン系, セフェム系の薬剤とは異なり, 新しいグループであるモノバクタム系(Fig.1)に属する抗生物質である。モノバクタム系は, β-ラクタム単環だけを基本構造としており, AZTは, 米国ニュージャージー州の土壌中から採取されたChromobacterium violaceumが産生するモノバクタムを化学修飾して得られ, 後に全化学合成に成功したものである1)(Fig.2)。 AZTは好気性グラム陰性菌に強い抗菌力を示すが, グラム陽性菌及び嫌気性菌にはほとんど抗菌力を示さない。又, β-Lactamaseに極めて安定であり, 他剤耐性菌に対しても抗菌力が期待されると共に, 耐性誘導能もほとんど認められない2, 3))。 AZTについては, 欧米をはじめ, 諸外国において臨床試験が実施されているが,本邦においては, 1982年から臨床試験が開始され, 第30回日本化学療法学会東日本支部総会(1983年11月東京)の新薬シンポジウムにおいて検討され, 高い評価が得られた4)。 我々はこの成績をふまえ, 昭和59年2月から6月まで臨床研究を実施したのでその成績を報告する。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.38.3415