気相試料導入-電気加熱原子吸光分析法による亜鉛の定量

分析種を溶液マトリックスから揮発性化学種として分離することができる気相試料導入法を適用して,電気加熱原子吸光分析による亜鉛の定量を行った.気相試料導入法における還元剤のテトラヒドロホウ酸ナトリウム溶液及び硝酸濃度等の種々の測定条件の最適化を行い,その条件下で得られた検量線は,10∼100 ng mL−1の濃度範囲で良好な直線性を示し,その相関係数は0.996であった.検出限界(3 σ)及び亜鉛50 ng mL−1での相対標準偏差(n = 10)はそれぞれ0.2 ng mL−1及び5.0% であった.また,種々の共存種による干渉を検討した後,本法の実試料分析への応用例として,水及び植物試料中の亜...

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Published in分析化学 Vol. 56; no. 11; pp. 945 - 950
Main Authors 松本, 明弘, 小畑, 俊嗣, 中原, 武利, 谷口, 久次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2007
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Summary:分析種を溶液マトリックスから揮発性化学種として分離することができる気相試料導入法を適用して,電気加熱原子吸光分析による亜鉛の定量を行った.気相試料導入法における還元剤のテトラヒドロホウ酸ナトリウム溶液及び硝酸濃度等の種々の測定条件の最適化を行い,その条件下で得られた検量線は,10∼100 ng mL−1の濃度範囲で良好な直線性を示し,その相関係数は0.996であった.検出限界(3 σ)及び亜鉛50 ng mL−1での相対標準偏差(n = 10)はそれぞれ0.2 ng mL−1及び5.0% であった.また,種々の共存種による干渉を検討した後,本法の実試料分析への応用例として,水及び植物試料中の亜鉛の定量に適用した.試料溶液を水酸化ナトリウム溶液でpHを2付近に調整した後,亜鉛の定量を行った結果,その得られた分析値は認証値とほぼ一致した.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.56.945