地方における心臓移植非実施施設の実状 -実施施設との連携の重要性

本邦に於ける心臓移植は徐々に症例数を伸ばし、良好な成績を上げつつある。これを受けて、VAD装着下での待機登録患者数も急速に増加し、待機期間の延長を来している。かかる状況において、特に心臓移植実施施設が無い地域においては、様々な問題が山積しており、心臓移植実施施設と非実施施設が連携して取り組んでいる。 ガイドラインによって治療の標準化が進む一方、地方の基幹施設においては、心臓移植を治療オプションとして提示して心臓移植実施施設との連携を取ることができていない施設が多く見受けられる。この状況に対し、近隣の非実施施設が介入して適切なタイミングとスピードの改善を図っている。愛媛大学は心臓移植実施施設のな...

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Published in移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s428
Main Authors 西村, 隆, 薦田, 宗則, 黒部, 裕嗣, 打田, 俊司, 三好, 徹, 東, 晴彦, 西村, 和久, 山口, 修, 泉谷, 裕則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
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Summary:本邦に於ける心臓移植は徐々に症例数を伸ばし、良好な成績を上げつつある。これを受けて、VAD装着下での待機登録患者数も急速に増加し、待機期間の延長を来している。かかる状況において、特に心臓移植実施施設が無い地域においては、様々な問題が山積しており、心臓移植実施施設と非実施施設が連携して取り組んでいる。 ガイドラインによって治療の標準化が進む一方、地方の基幹施設においては、心臓移植を治療オプションとして提示して心臓移植実施施設との連携を取ることができていない施設が多く見受けられる。この状況に対し、近隣の非実施施設が介入して適切なタイミングとスピードの改善を図っている。愛媛大学は心臓移植実施施設のない中四国地域に位置するが、地理的な近接性から様々なコンサルテーションや往診依頼を受けることがあり、それらの情報を関西圏の心臓移植実施施設と共有して治療を進めることによって、地域格差解消を目指している。 また、住居地近隣の非実施施設は長期待機中や移植後のレシピエントQOL向上に地理的な便宜を図ることができ、社会復帰支援や移植待機環境の改善、移植後のサポート等で連携を行っている。 今後、更なる待機症例の増加や待機期間の延長が予想される中、限られた医療資源である心臓移植実施施設を地方の非実施施設が連携してしっかりとサポートすることが望まれる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s428