腎移植後の尿細胞診で6ヶ月以上持続するDecoy細胞陽性所見はBKウイルス腎症の発症予測に有効である
【目的】腎移植後患者において、尿細胞診のDecoy細胞陽性所見の持続期間とBKウイルス腎症 (BKVN)発症予測の関連性を検討した。【方法】対象は2012年05月から2020年07月までに当院で腎移植を行った121例。尿細胞診は、腎移植後6ヶ月間は1ヶ月毎、その後の6ヶ月は1から2ヶ月毎、以降は1から3ヶ月毎に行なっている。BKVN発症予測に最適な陽性持続期間をAUC曲線にて解析し、その最適な陽性期間の持続の有無で患者を2群に分け、BKVN発症率を比較検討した。SV40免疫染色の有効性も併せて比較検討した。【結果】尿検体数は計2,534検体、SV40免疫染色は計2,241検体であった。BKVN...
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Published in | 移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s441 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
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Summary: | 【目的】腎移植後患者において、尿細胞診のDecoy細胞陽性所見の持続期間とBKウイルス腎症 (BKVN)発症予測の関連性を検討した。【方法】対象は2012年05月から2020年07月までに当院で腎移植を行った121例。尿細胞診は、腎移植後6ヶ月間は1ヶ月毎、その後の6ヶ月は1から2ヶ月毎、以降は1から3ヶ月毎に行なっている。BKVN発症予測に最適な陽性持続期間をAUC曲線にて解析し、その最適な陽性期間の持続の有無で患者を2群に分け、BKVN発症率を比較検討した。SV40免疫染色の有効性も併せて比較検討した。【結果】尿検体数は計2,534検体、SV40免疫染色は計2,241検体であった。BKVN発症予測に最適な陽性持続期間は6ヶ月であった(AUC = 0.819)。Decoy細胞陽性が6ヶ月以上持続した(decoy≧6M)群および持続が6ヶ月未満であった(decoy<6M)群に分け、decoy≧6M群 47例、SV40<6M群 74例であった。decoy ≧6M群 はdecoy <6M群 に比べ、BKVNの発症率は有意に高かった(5 vs 0, p=0.008)。decoy細胞によるBKVN発症予測の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率はそれぞれ100%, 64%, 11%, 100%であり、SV40免疫染色は感度、陰性的中率は同等で、特異度は68%, 陽性的中率は12%であった。【結語】6ヶ月以上のDecoy細胞陽性持続の所見はBKVN発症予測に有用である可能性が示唆された。SV40免疫染色追加に伴うBKVN発症予測精度はごくわずかに向上した。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s441 |