肝移植と小腸移植におけるドナー由来cell free DNA解析の試みと展望

【背景】臓器移植の歴史は成熟期を迎え、グラフト機能維持を含む長期成績の向上が大きな課題である。今回我々はドナー由来血中遊離DNA(donor-derived cell free DNA;ddcfDNA)に着目し、肝臓・小腸でのグラフト機能評価に対する新規バイオマーカー研究に着手したので進捗を報告する。【方法】肝移植・小腸移植レシピエントを移植後1年未満の急性期群と1年以上経過した長期経過群に分類した。各プロトコールに沿って採血しcfDNAを抽出、次世代シークエンサーを用いたSNP解析の手法をもとにddcfDNA比率を算定し、採血データ・組織生検結果(線維化スコア・C4dスコア)との相関を評価し...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s213
Main Authors 山田, 洋平, 長谷川, 康, 尾原, 秀明, 金森, 洋樹, 篠田, 昌宏, 北川, 雄光, 井ノ上, 逸朗, 黒田, 達夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s213

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Summary:【背景】臓器移植の歴史は成熟期を迎え、グラフト機能維持を含む長期成績の向上が大きな課題である。今回我々はドナー由来血中遊離DNA(donor-derived cell free DNA;ddcfDNA)に着目し、肝臓・小腸でのグラフト機能評価に対する新規バイオマーカー研究に着手したので進捗を報告する。【方法】肝移植・小腸移植レシピエントを移植後1年未満の急性期群と1年以上経過した長期経過群に分類した。各プロトコールに沿って採血しcfDNAを抽出、次世代シークエンサーを用いたSNP解析の手法をもとにddcfDNA比率を算定し、採血データ・組織生検結果(線維化スコア・C4dスコア)との相関を評価した。【結果】2021年6月時点で研究参加者は69例(肝64例【急性期群、長期経過群各10、54例】、小腸5例【同各2、3例】) で、ddcfDNA解析が終了したのは肝移植急性期群1例(小児)、肝移植長期経過群24例。急性期群では虚血再灌流障害の影響でddcfDNAは高比率となるが、その後減少に転じ、拒絶反応時の上昇や治療後の反応等、既報で見られるような推移を得た。長期経過群24例ではddcfDNAとC4dスコア、ALT、γGTPと相関が見られた。小腸移植群は現在解析中である。【結語】更なる検体解析を進め、肝臓・小腸移植後グラフト機能評価に対するddcfDNAの有用性を検討する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s213