職業選択志向性と入社後の職務満足感との関連における 境遇活用スキルの調整効果の検討

本研究では,就職活動時の職業選択志向性によって,就職後の職務満足感に差異が見られるのか,さらに,境遇活用スキルが職業選択志向性と職務満足感との関連にどう影響するのかを明らかにすることを目的とした。大学卒で22 ~ 30歳の社会人290名を対象として,職業選択志向性尺度,境遇活用スキル尺度,職務満足感尺度で構成される調査票を作成し,Web調査を実施した。職業選択志向性尺度については,「とりあえず志向」と「やりたいこと志向」からなる24項目を作成した。因子分析の結果,職業選択志向性尺度は,「とりあえず志向」,「やりたいこと志向」の2 因子での解釈が妥当と判断された。尺度の信頼性を検討したところ,α...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inキャリア・カウンセリング研究 Vol. 25; no. 2; pp. 78 - 89
Main Authors 西村, 昭徳, 赤城, 知里, 井上, 忠典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本キャリア・カウンセリング学会 31.03.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2436-4088
DOI10.34512/careercounseling.25.2_78

Cover

More Information
Summary:本研究では,就職活動時の職業選択志向性によって,就職後の職務満足感に差異が見られるのか,さらに,境遇活用スキルが職業選択志向性と職務満足感との関連にどう影響するのかを明らかにすることを目的とした。大学卒で22 ~ 30歳の社会人290名を対象として,職業選択志向性尺度,境遇活用スキル尺度,職務満足感尺度で構成される調査票を作成し,Web調査を実施した。職業選択志向性尺度については,「とりあえず志向」と「やりたいこと志向」からなる24項目を作成した。因子分析の結果,職業選択志向性尺度は,「とりあえず志向」,「やりたいこと志向」の2 因子での解釈が妥当と判断された。尺度の信頼性を検討したところ,α 係数,I-T相関から十分な内的整合性が考えられた。相関分析,回帰分析の結果から,「とりあえず志向」は職務満足感と負の関連を示し,「やりたいこと志向」は職務満足感と正の関連を示した。さらに,職業選択志向性と職務満足感の関連における境遇活用スキルの調整効果を検証した結果,「とりあえず志向」においてのみ職業選択志向性と境遇活用スキルの有意な交互作用が確認され,境遇活用スキルの調整効果が示された。本調査の結果を踏まえ,「とりあえず志向」を低くするとともに,境遇活用スキルを高めるプログラムを開発する必要性が示唆された。
ISSN:2436-4088
DOI:10.34512/careercounseling.25.2_78