当施設における脳死肝移植と生体肝移植の相違点

【背景】本邦では欧米と異なり、脳死に比べて生体ドナーによる肝移植が多くなっている。両者の差異を明らかにするために本研究を行った。【方法】1990年6月から2021年3月に施行された生体肝移植319例と脳死肝移植24例を対象とし比較した。【結果】脳死肝移植では生体肝移植に比べて、再移植の割合が高く(12.5 vs 1.3 %, p<0.001)、小児が少なく(2.3 vs 42.0 %, p<0.001)、脳症の合併が多く(62.5 vs 22.9 %, p<0.0001)、標準肝容積(1,126±79.1 vs 816.0±21.7 cm3, p<0.0001)が大きい...

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Published in移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s493
Main Authors 三田, 篤義, 大野, 康成, 窪田, 晃治, 増田, 雄一, 野竹, 剛, 吉澤, 一貴, 細田, 清孝, 梅村, 謙太郎, 蒲池, 厚志, 後藤, 貴宗, 富田, 英紀, 山崎, 史織, 清水, 明, 副島, 雄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
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Summary:【背景】本邦では欧米と異なり、脳死に比べて生体ドナーによる肝移植が多くなっている。両者の差異を明らかにするために本研究を行った。【方法】1990年6月から2021年3月に施行された生体肝移植319例と脳死肝移植24例を対象とし比較した。【結果】脳死肝移植では生体肝移植に比べて、再移植の割合が高く(12.5 vs 1.3 %, p<0.001)、小児が少なく(2.3 vs 42.0 %, p<0.001)、脳症の合併が多く(62.5 vs 22.9 %, p<0.0001)、標準肝容積(1,126±79.1 vs 816.0±21.7 cm3, p<0.0001)が大きいレシピエントで、グラフト容積標準肝容積比が高い(120.4±23.2 vs 58.8±31.1 %, p<0.0001)結果であった。脳死肝移植の緊急度は、旧制度10点相当が7例、8点が2例、6点相当が10例で、新制度5例はすべてStatus II、MELDスコアの中央値は38(26~51)点であった。生体、及び脳死肝移植の累積患者生存率は同等であった(5年 91.7 vs 85.3 %、10年 70.2 vs 79.1 %、15年 70.2 vs 72.5 %)。【考察】当施設では、生体肝移植では年齢上限を設けない、アルコール性肝硬変の断酒期間は6ヶ月以上、の2点を除き適応について相違はない。検討の結果では、より大きなグラフトを必要とする、高MELDスコア患者に脳死肝移植が行われていた。【結語】肝移植を検討する際に、未だ第1選択は生体肝移植であり、生体を選択し難い症例に対して脳死肝移植を選択していることが示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s493