腎移植におけるBKV再活性化リスク因子の探索
【背景】腎移植後のBKウイルス(BKV)再活性化に対する有効な治療薬がないため、腎移植前検体(尿、血液)を用いた血症及び腎症のリスク因子の解析がガイドラインで推奨されている。【方法】愛知医科大学病院で2016年から2020年までに施行された腎移植95症例のうち、BKV血症群:13例、非血症群:39例、合計52症例を対象に、移植前のドナー/レシピエント(D/R)における i)尿中BKV-DNA copy数ii)血中BKV-IgG抗体価測定を行い、cut off値を定めて、BKV血症の オッズ比(OR)を求めた。またiii)BKVサブタイプの解析を行った。【結果】BKV血症になるリスクは、i)尿中...
Saved in:
Published in | 移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s440 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 【背景】腎移植後のBKウイルス(BKV)再活性化に対する有効な治療薬がないため、腎移植前検体(尿、血液)を用いた血症及び腎症のリスク因子の解析がガイドラインで推奨されている。【方法】愛知医科大学病院で2016年から2020年までに施行された腎移植95症例のうち、BKV血症群:13例、非血症群:39例、合計52症例を対象に、移植前のドナー/レシピエント(D/R)における i)尿中BKV-DNA copy数ii)血中BKV-IgG抗体価測定を行い、cut off値を定めて、BKV血症の オッズ比(OR)を求めた。またiii)BKVサブタイプの解析を行った。【結果】BKV血症になるリスクは、i)尿中BKV-DNAのD陽性はOR=1.71(p=0.51)、R陽性はOR=0.55(p=0.47) ii)血中BKV-IgGのD陽性は、OR=1.65(p=0.70)、R陽性は、OR=0.071(p=0.0005)であった。iii)BKV血症群で、出現頻度が低いサブタイプのIII型が健常人の割合より多い傾向にあった。(健常人群(3%),BKV血症群(30%))【結論】ドナー尿中のBKV-DNA量に関わらず、血中BKV-IgG抗体価がレシピエントで陰性であるとBKV血症のリスクが有意に高まる。またBKVのサブタイプがD/Rで異なる場合、RでBKV-IgGが陽性であっても、血症のリスク因子となる可能性がある。 |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s440 |