我が国独自の心臓移植allocation system
心臓移植実施数が世界で最も多い北米のUnited Network for Organ Sharing (UNOS) は、2018年10月にドナー心のallocation systemを更新した。その概略としては、より差し迫ったリスクに曝されているレシピエント候補に対して、より広いエリアからドナー心を融通する方向性ととらえられる。日本の心臓移植レシピエント選択基準は、1997年に制定され、医学的適応の見地から移植の実効性を担保し、移植機会の公平性を確保するための基準として運用されている。その後、臓器移植法の改正や、心臓移植医療の進歩と実績の積み重ねにより、心臓移植の基準等に係る作業班と臓器移植委...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s307 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.56.Supplement_s307 |
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Summary: | 心臓移植実施数が世界で最も多い北米のUnited Network for Organ Sharing (UNOS) は、2018年10月にドナー心のallocation systemを更新した。その概略としては、より差し迫ったリスクに曝されているレシピエント候補に対して、より広いエリアからドナー心を融通する方向性ととらえられる。日本の心臓移植レシピエント選択基準は、1997年に制定され、医学的適応の見地から移植の実効性を担保し、移植機会の公平性を確保するための基準として運用されている。その後、臓器移植法の改正や、心臓移植医療の進歩と実績の積み重ねにより、心臓移植の基準等に係る作業班と臓器移植委員会での議論を経て、過去6回の改定が行われている。具体的には、虚血許容時間、親族、ブロックの取り扱い、医学的緊急度の定義における強心薬の規定、親族優先提供、18 歳未満ドナーの場合の18 歳未満のレシピエントへの優先提供、年齢、血液型、待機期間の取り扱い、レシピエントの年齢上限の拡大に伴う具体的選択方法等についての改定が行われてきた。我が国の心臓移植事情としては、心臓移植希望者数は北米に比較し少ないが、心臓提供者数がさらに少ない現状があり、また、国土としてエリア全体が狭いという特徴があるため、それらを勘案し現状に沿った我が国独自のallocation systemが今後も必要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.Supplement_s307 |