腎移植後再発巣状糸球体硬化症に対する血漿交換療法の治療効果の検討

【はじめに】巣状糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)の腎移植後約30%に再発を認め、移植腎機能に影響を及ぼす。今回我々は移植後再発FSGSに対する治療としての血漿交換療法(PE)の有効性を明らかにするため、当科で経験した症例を対象に臨床経過、予後などを検討したので報告する。【対象・方法】2005年以降の腎移植症例のうち再発FSGSと診断し、PEを施行した13例を対象に後方視的に評価した。【結果】平均移植後観察期間は6.96(0.6-20.8)年であった。再発FSGS診断は病理診断8例、蛋白尿増加(>1g/day)5例であった。治療...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s322
Main Authors 林, 千裕, 神澤, 太一, 北島, 和樹, 土谷, 健, 尾本, 和也, 海上, 耕平, 蓑田, 亮, 藤原, 裕也, 高木, 敏男, 八木澤, 隆史, 大木, 里花子, 田邊, 一成, 石田, 英樹, 石井, 宏太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s322

Cover

More Information
Summary:【はじめに】巣状糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)の腎移植後約30%に再発を認め、移植腎機能に影響を及ぼす。今回我々は移植後再発FSGSに対する治療としての血漿交換療法(PE)の有効性を明らかにするため、当科で経験した症例を対象に臨床経過、予後などを検討したので報告する。【対象・方法】2005年以降の腎移植症例のうち再発FSGSと診断し、PEを施行した13例を対象に後方視的に評価した。【結果】平均移植後観察期間は6.96(0.6-20.8)年であった。再発FSGS診断は病理診断8例、蛋白尿増加(>1g/day)5例であった。治療は平均PE回数:28.4(9-96)回で、PEおよびリツキシマブ併用は7/13例(53%)であった。治療成績は移植腎生着が7/13例(53%)で、平均移植腎生着期間:5.6(0.7-20.8)年であった。生着症例のうち3例で蛋白尿改善(<1g/day)を認めた。移植腎喪失6例の原因は再発FSGS増悪4例、重症感染症と消化管出血合併1例、脳出血1例であった。【まとめ】腎移植後再発FSGS治療として多くの施設でPEやリツキシマブ投与を行っているが、小規模な報告が多く、治療効果に関しては一定の見解が得られていないのが現状である。再発FSGS症例の移植腎生着率は約50%と報告されている。今後のさらなる症例の蓄積が必要と考える。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s322