若年就業者の自律的な援助要請に至るプロセスの探索的検討

職場において仕事に関連する支援を求めること(援助要請)の研究が近年注目されている。本研究は,企業や団体で働く若年就業者を対象として,職場における自律的な援助要請行動が獲得されるプロセスを明らかにすることを目的として実施された。若年就業者13名に対して半構造化面接を行い,対象者の逐語記録をM-GTAにより分析した結果,43 概念,15 カテゴリー,6 カテゴリーグループが生成された。その結果,自律的な援助要請行動を獲得するまでに3つの段階(援助者への全面依存,自発的な援助要請,柔軟・適切な援助要請)があることが明らかになった。依存的な援助要請に影響する要因として,相談へのハードルや自己完結への焦...

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Published inキャリア・カウンセリング研究 Vol. 25; no. 2; pp. 43 - 54
Main Author 道谷, 里英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本キャリア・カウンセリング学会 31.03.2024
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ISSN2436-4088
DOI10.34512/careercounseling.25.2_43

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Summary:職場において仕事に関連する支援を求めること(援助要請)の研究が近年注目されている。本研究は,企業や団体で働く若年就業者を対象として,職場における自律的な援助要請行動が獲得されるプロセスを明らかにすることを目的として実施された。若年就業者13名に対して半構造化面接を行い,対象者の逐語記録をM-GTAにより分析した結果,43 概念,15 カテゴリー,6 カテゴリーグループが生成された。その結果,自律的な援助要請行動を獲得するまでに3つの段階(援助者への全面依存,自発的な援助要請,柔軟・適切な援助要請)があることが明らかになった。依存的な援助要請に影響する要因として,相談へのハードルや自己完結への焦りが見出された。援助要請における自律性を高める要因として,自分を出せる関係性や相談の意義が実感できることが確認された。組織社会化が援助要請の質の変化に影響することも確認された。相互に助け合う職場環境を構築することの重要性について議論された。
ISSN:2436-4088
DOI:10.34512/careercounseling.25.2_43