モノクローナル抗体を用いた唾液潜血試験紙の歯周疾患スクリーニングテストにおける有用性 臨床パラメーターとの関連性について
歯周疾患のスクリーニングテストに, 免疫学的ヘモグロビン検出試験紙 (抗体法) の応用を試み, 従来法であるペルオキシダーゼ法 (酵素法) と比較を行った。被検者は全身疾患を有していない成人男性106名および女性26名, 合計132名で, その年齢は35歳から55歳, 平均45.3歳であった。被検者から安静時無刺激全唾液を採取し, 両唾液潜血試験紙を使用して判定結果の比較を行った。さらに, 唾液採取後に口腔内診査を行い, probing depth (PD) およびbleeding on probing (BOP) を記録し, その値と両試験紙法の結果とを比較検討した抗体法の陽性率は54.5%...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 40; no. 1; pp. 111 - 118 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
28.03.1998
日本歯周病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0385-0110 1880-408X |
DOI | 10.2329/perio.40.111 |
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Summary: | 歯周疾患のスクリーニングテストに, 免疫学的ヘモグロビン検出試験紙 (抗体法) の応用を試み, 従来法であるペルオキシダーゼ法 (酵素法) と比較を行った。被検者は全身疾患を有していない成人男性106名および女性26名, 合計132名で, その年齢は35歳から55歳, 平均45.3歳であった。被検者から安静時無刺激全唾液を採取し, 両唾液潜血試験紙を使用して判定結果の比較を行った。さらに, 唾液採取後に口腔内診査を行い, probing depth (PD) およびbleeding on probing (BOP) を記録し, その値と両試験紙法の結果とを比較検討した抗体法の陽性率は54.5%, 酵素法の陽性率は55.3%と両試験紙法問に差は見られなかったが, 抗体法が歯周疾患のリスクファクターのひとつである年齢と強く相関した。抗体法陽性者のBOP値は平均で24.3%, 陰性者の平均は7.0%であった。また, 酵素法陽性者のBOP値は平均で23.1%, 陰性者は平均8.2%と両試験紙法間に差は見られなかった。しかしながら, 抗体法においてBOP値が10%未満の陽性者は8名存在したが, うち7名は最深PDが4mm以上 (BOP+) であったのに対し, 酵素法ではBOP値が10%未満の陽性者が13名存在し, うち2名が最深PD4mm以上 (BOP+) であった。 また, 抗体法陰性者60名のうち, 1カ所でも4mm以上のPD (BOP+) を有していた者が16名, 酵素法陰性者59名のうち1カ所でも4mm以上のPD BOP+) を有していた者が26名存在した。全体的に見て両試験紙法の一致率は80.3%であった。以上の (ことから抗体法は酵素法に較べ, 歯周疾患のスクリーニングテストの精度を向上させることが示唆された。 |
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ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.40.111 |