COVID-19感染拡大が医師に及ぼした影響~日本泌尿器科学会アンケートから

緒言:2019年から始まったCOVID-19感染は未だ解決されず、世界的パンデミックの状況が持続している。日本泌尿器科学会では第1回目の緊急事態宣言が出された2020年5月にCOVID-19感染拡大による医師の仕事や生活に対する影響についてアンケート調査を施行した。対象と方法:アンケートは日本泌尿器科学会ダイバーシティ委員会で作成され、全国に発令されていた緊急事態宣言が解除された2020年5月26日に、アドレスを登録しているすべての日本泌尿器科学会員(8510名)に対し、学会事務局よりメール配信しGoogleフォームのアンケートリンク先を周知した。周知は2回行い、最終的に1048名(12.3%...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 56; no. Supplement; p. s143
Main Authors 佐々木, ひと美, 小林, 知子, 宮澤, 克人, 松下, 千枝, 永井, 敦, 西田, 幸代, 木村, 友和, 樋口, はるか, 増田, 朋子, 高橋, さゆり, 吉川, 武志, 前田, 佳子, 舛森, 直哉, 山本, 恭代, 南里, 麻己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.Supplement_s143

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Summary:緒言:2019年から始まったCOVID-19感染は未だ解決されず、世界的パンデミックの状況が持続している。日本泌尿器科学会では第1回目の緊急事態宣言が出された2020年5月にCOVID-19感染拡大による医師の仕事や生活に対する影響についてアンケート調査を施行した。対象と方法:アンケートは日本泌尿器科学会ダイバーシティ委員会で作成され、全国に発令されていた緊急事態宣言が解除された2020年5月26日に、アドレスを登録しているすべての日本泌尿器科学会員(8510名)に対し、学会事務局よりメール配信しGoogleフォームのアンケートリンク先を周知した。周知は2回行い、最終的に1048名(12.3%)から回答を得た。結果:回答者の中で女性が占める割合は全体の10.6%であり、泌尿器科学会員に占める女性の比率(7.7%)とほぼ同じであった。最も回答が多かったのは50代、以下60代、40代であった。診療体制では診療制限、外来者数の減少、望ましい医療行為を提供できなかったと答えた割合が多く、特定警戒都道府県では傾向が顕著であった。また16%では発熱外来担当、そのうち34%が実際にCOVID-19患者や疑い患者の診療に当たったと回答した。感染拡大により、仕事と生活のバランスが楽になったと回答したのは30%、一方辛くなったと回答したのは27%であった。家庭での負担について、全体の28%で負担が増えたと回答しているが、男性では27%であったのに対し女性では43%であり、女性に負担が大きかったことが示唆された。負担が増えた多くの原因は家事の増加や子供のケア、介護に関わるものであった。一方、講演会や専門医取得・更新のための講習のオンライン化や学会のWeb開催に関しては、今後も形態を維持してほしいとの意見が聞かれた。結語:アンケート結果からは、本来COVID-19の治療には関わらない泌尿器科医であっても、仕事・家庭ともに感染拡大の影響を受けており、特に女性医師では負担と感じる割合が高かった。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s143